3月14日で「Jupiter」「ドラえもんのうた」消滅…駅メロ文化が“ワンマン化”で揺れる理由

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南武線が統一メロディへ

 駅で利用者に親しまれていた「Jupiter」や「ドラえもんのうた」が、3月14日をもって姿を消す――。長年、地域と鉄道を結びつけてきた「駅メロ文化」に、今、大きな変化が訪れている。

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 南武線川崎駅の「川崎市歌」、武蔵溝ノ口駅の「Jupiter」、宿河原駅や登戸駅の「ドラえもんのうた」。これらのご当地メロディは、JR東日本が進めるワンマン運転の導入に伴い、3月15日から統一メロディへと差し替えられる。

 これまで南武線では、駅ごとに異なる発車メロディが鳴らされていた。車掌がホームに降りて、スイッチを押すことで流れていたのだ。しかし、JR東日本は南武線のワンマン化を決定。乗務員は運転士のみとなり車掌がいなくなるため、スイッチを押す人がいなくなる。

 そこで導入されるのが「車載スピーカー方式」だ。運転士が運転台のモニターを操作し、車両のスピーカーから統一メロディを流す。この方式では駅ごとの個別メロディを設定せずに、一つの方向では始発から終点まで同じ発車メロディになる。

 鉄道に詳しいライターがこう言う。

「地元住民や自治体から『ご当地メロディを残してほしい』との声が上がりました。また東京メトロの丸ノ内線のように、ワンマン路線でも駅によってメロディを使い分けることは可能です。JR東日本の答えは『広告として導入費用を負担してもらえるなら』という意外な答えでした。これまで、ご当地メロディは、地元の歴史や文化を象徴するようなもので、“公共財”のような側面もありました。しかし、現在はこの駅メロを『ひとつの広告』としてしか見ていないのかもしれません」

 実際、JR東日本はすでに神田駅や池袋駅で、企業のCMソングを駅メロとして採用し、企業から広告料を受け取るビジネスを展開している。カネになるメロディは残すが、そうでないものは廃止する、という方針になってきているのか。

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