ゼレンスキー大統領を逆恨みするトランプ大統領 ウクライナの次期トップは国民人気の高い「鉄の将軍」か
チャーミング
一方でもし選挙が実施されたとしても、トランプ大統領やロシアの思惑通りになるとは限らない。
昨年2月まで軍の総司令を務めた、ヴァレリー・ザルジニー駐英ウクライナ大使(51)が、ゼレンスキー大統領を大きくしのぐ支持率を得ているためだ。
「ザルジニー氏はへルソン奪還の指揮を執ったことなどで英雄視されており、国民的人気があります。憎めないチャーミングな仕草が持ち味で、作戦が失敗しても世論の批判が向きづらい」(先の平野氏)
家庭では金融関係の職場に勤める妻を持ち、娘も軍人だという同氏。軍規についての論文で博士号を取得しており、また詩と旅行が趣味と、インテリな一面も併せ持つ。
手柄を誇示しない実直な性格から“鉄の将軍”の異名を取る人物だけに、次期大統領との声も少なくない。
「現在のウクライナは戒厳令下にあり、大統領選は法律上できません。もし法律を改正したり、戒厳令を解いたりすれば、付け入る隙をロシアに与えることになる。国民も政治的な動きが激しくなることは望んでいません。国益を第一に考えるザルジニー氏もまた、大統領選への立候補について“戦争が終わった後で”と発言を控えています」(同)
「ロシアが何らかの干渉をしてくる」
アメリカが提示した案では、大統領選は一時休戦の後に行われ、新大統領の下で和平交渉が進められる。
「もしザルジニー氏が当選すれば、ゼレンスキー大統領の路線が継続される可能性が高く、トランプが望む結果にならない。そればかりか、ロシアが親露派の候補を当選させようと、選挙に何らかの干渉をしてくるでしょう」(小谷氏)
和平を巡る“取引(ディール)”のテーブルに着くのは、「かいらい」より「名将」がふさわしいだろう。