ゼレンスキー大統領を逆恨みするトランプ大統領 ウクライナの次期トップは国民人気の高い「鉄の将軍」か

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「選挙をしない独裁者だ」。ドナルド・トランプ米大統領(78)の「口撃」に、ウクライナのゼレンスキー大統領(47)が頭を悩ませている。ロシアによる侵略開始から丸3年、思わぬ形で問われることになった彼の去就やいかに。

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 今なお人々が戦禍にさらされ続けているウクライナ。

 その地で今、人々の耳目を最も集めるのが、トランプ大統領の言動である。

 2月中旬、ゼレンスキー大統領は鉱物資源の権益を米国に一部譲渡する合意文書への署名を拒否した。するとトランプ大統領は冒頭の発言に加え「彼はこの戦争を始めるべきではなかった」「これまでひどい仕事しかしていない」と批判を展開したのだ。

 キーウ在住で通信社「ウクルインフォルム」編集者の平野高志氏が解説する。

「鉱物資源の共同開発は、元々ウクライナ側の提案でした。とはいえ、あくまでもロシアの再侵攻を防ぐ安全保障や支援がセットでの話。“これまでの支援の見返りに”権益を求めるトランプの提案を断るのは当然です」

「全くの逆恨みで嫌っている」

 トランプ大統領は公約に早期停戦の実現を掲げ、ノーベル平和賞にも意欲を見せる。彼にとって「今後の安全保障の提供」をかたくなに譲らないゼレンスキー大統領は、自身の「レガシー」を阻む存在に他ならない。

 さらに二人の大統領にはこんな“因縁”も。

「2019年にあったトランプの弾劾のきっかけになったのが、ゼレンスキーへの電話内容でした。全くの逆恨みなのですが、個人的に嫌っています」(明海大学の小谷哲男教授)

 遺恨ある“当事者”を停戦交渉から外したいトランプ大統領は、延期されていたウクライナ大統領選の実施を求めている。

「早期の停戦ありきで考えており、ロシアに同調するのも厭(いと)いません。もはや当の国民が切望する領土の奪還や拘束された人々の解放は、眼中にないと言っていいでしょう」(同)

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