「ポイントは“金目の紙”」 プロが教える「実家片づけ」四つのルール キッチンを一番先に奇麗にする理由とは
前編【「実家片づけ」で子どもが親に言ってはいけない“三大禁句”とは? 散らかった家に住む親に片づけを納得させる方法】では親が元気なうちにやっておくべき「実家片づけ」の重要性を指摘したが、今回はその具体的なテクニックを紹介。真っ先に手をつけるのはキッチン、寝室でのNG、リビングにお勧めの家具、そして紙の4分類法。プロが「四つのルール」を解説する。
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高齢となった親が住む家、つまり実家の片づけをするにはどこから手をつけるべきか。リビングか、寝室か、それともキッチンか。答えはキッチンです。なぜなら、食事を用意する度に、片づいたキッチンの快適さを実感することができ、雑然としたままの家で過ごすよりも、きれいになった家で暮らすことのメリットをすぐに味わえるからです。
結婚式の引き出物としてもらったきり一度も使用したことのないお皿、すでに子どもが巣立ち、滅多に使うことのなくなったおでん用の大きな鍋、誰が何のために買ったのか分からない“謎”のティースプーン……。きっと、どこのキッチンにもこうした不要な食器などが溢れているはずです。みなさん、思い当たる節はありませんか?
〈こう語りかけるのは、片づけアドバイザーの石阪京子氏だ。これまで、1500軒を超す家の片づけをサポートしてきた石阪氏は、NHKの「あさイチ」などにも出演する「片づけのプロ」である。
そんな石阪氏が、超高齢社会において早めの着手を推奨しているのが「実家片づけ」だ。
親が元気なうちに実家の片づけを済ませておかないと、散らかった室内で転倒してけがをしたり、自宅で最期まで過ごしたいと望んでいるのに介護スペースがなくそれがかなわなかったりといった、生活上の不幸が親に待ち受けている。
また子どもも、結局は親が亡くなって初めて「実家じまい」に直面し、何がどこにあるか分からず途方に暮れるリスクを抱えることになる。
そこで石阪氏は前回、遅くとも親が75歳となり、後期高齢者の仲間入りを果たした段階で、実家片づけを心がけるべきではないかと提言。そして今回は、実家片づけの具体的なハウツーを伝授する。〉
親は「頭」、子どもは「体」を使う
キッチンを片づけ始める前に、実家片づけの大前提として押さえておきたいのが、親は「頭」、子どもは「体」を使うということです。何を残し、捨てるかの判断は親にしてもらい、子どもは実際にモノを動かしたり、捨てたりといった作業を担当する。子どもが頭と体の両方を使うと疲弊し切ってしまい、片づけが進まないからです。
判断をするのは親ですが、前回も説明したように、「もったいない精神」を持っている親世代はとにかくモノを捨てたがりません。もう使うことはないであろうミシン、来客もほとんどないのに数多く保管している布団、どこにも着て行けそうにないヨレヨレの服……。子どもからすると、どう考えても不要にしか思えないモノであっても、「もったいない」「いつか使える」「置いておけるから置いておく」と言って、親は捨てるのを拒みます。
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