“動く機関車”を自宅に保存…40代のがん診断で目覚めた「趣味の達人」が説く「定年後では遅い」理由
日本中の「マンホール蓋」を制覇
その趣味遍歴とハマりぶりは凄まじい。自作のホームページを見ると、歩鉄さんが実際に訪れて撮影した全国の「マンホール」「円筒分水」「ねじりまんぽ」「煉瓦構造物」などの写真がずらりと並んでいる。
中でも充実しているのがマンホール蓋の写真だ。
道路に設置された地下施設への出入り口の「蓋」がどんなものかなど、好事家でなければ気にしたことがないだろう。しかし歩鉄さんはマンホールの蓋を目当てに離島も含めた各地を巡り「2007年から7年半かけて日本の全市町村のマンホール蓋を全て撮影しました」という。驚くべきマニア度の高さだ。
そもそもなぜハマったのか?
「鉄道好きの息子に誘われ、JR東日本の『駅からハイキング』に参加したときのことでした。歩いている時にふと足元を見ると、綺麗な絵柄のマンホール蓋があったから写真を撮ったんです。デザインされたマンホール蓋があることに初めて気がつき、興味を持ったのがきっかけです」
以来、地方に行ってはマンホール蓋を撮影し、市町村別にホームページへのアップを続けていたところ、
「気がつけば全市町村の半分を網羅していました。これはもう全市町村のマンホール蓋を撮影してやろうと」
そして実際に全国制覇を成し遂げたというわけである。
歩鉄さんの熱の入れ方がよくわかるのが、マンホール蓋を撮影するためだけに小笠原村の父島まで行ったエピソード。2013年3月のことだった。
「当時は小笠原到着後に2時間半で折り返すフェリーがあったんですよ。だから25時間半かけて小笠原に行き、2時間半の間にマンホールを撮影して、そのまま乗ってきたフェリーで25時間半かけて帰りました」
滞在時間中はひたすらマンホールを探しては写真を撮り続けたそう。帰りのフェリーで「俺は何をやってるんだ!」と思わなかった?
「いえ、その時は“全国のマンホール蓋を撮るんだ!”と、もう全集中ですから」
なお、新しいデザインのマンホール蓋が現れると、その都度追加で撮影しに行っているという。
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