日米の「イケメン」「美女」は大違い…アメリカ進出したら大人気だったと思う“日本人女優”を米国生活の経験者が明かす
She is HOT!!!!!!
アメリカ人と喋るといつも、彼らと我々日本人とでは「イケメン」「美女」の感覚が違うのでは……と、感じてしまう。そのような違和感を持ったきっかけは、1987年のこと。マドンナとマイケル・ジャクソンが東京公演を行ったその年の秋に、筆者はアメリカに引っ越したのだ。
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学校や近所付き合いのなかで、アーティストについて喋ることも多かった。マドンナとMJの人気は当地でも当然凄まじかったが、その一方で戸惑いもあった。少なくとも、筆者がアメリカで暮らした80年代後半から90年代前半にかけて、日本で人気のあった海外アーティストが、アメリカの若者の間ではさほど評価されていないように感じられたのだ。
「好きなアーティストは?」と聞かれて「オリビア・ニュートン・ジョン」と答えると鼻で笑われ、「~~の方がクールだぜ」と言うのである。こういった経験を基に、日米の「いい男・いい女」感の違いについて考えてみようと思う。
まず気がついたのは、日本で人気のある欧米系アーティストは「かわいい」「ハンサム」なことが多かったこと。一方、アメリカでは人気のあるアーティストについて女性に対する表現は「She’s so sexy!」「She is badd, man!(彼女ヤベーよ! ※man!は興奮した時の語尾のようなもの)」「She is HOT!!!!!!」となり、男性に対してはこの3つに加え、「He is so muscular(彼は強そうないい体をしている)」などとなる。
トム・クルーズよりメル・ギブソン
それを確信したのが、同級生にオードリー・ヘップバーンの人気について聞いた時のことだ。「誰それ?」と言われた。最初は私をからかっているのかと思ったが、本気で知らないという。80年代どころか現在でも、日本では「ティファニーで朝食を」「ローマの休日」で絶大なる人気を誇る女優である。とはいえ、彼女は華奢で可憐でついつい守ってあげたくなるかわいいタイプの女性であり、決して「セクシー」「HOT」の分類には入らない。
じゃあどの女優がイケてるんだよ? と聞いたらミシェル・ファイファーだという。あとはCher(日本では「シェール」)だ、とも言う。イケてる俳優が誰かと聞けばマイケル・キートンだと言う。ちょっと待てよ、マイケル・J・フォックスとトム・クルーズが日本では人気なんだぜ、と言うと顔の前でノーノーと指を振り、メル・ギブソンとブルース・ウィリスとリチャード・ギアとチャーリー・シーンの名前を挙げるのである。
これはアーティストでも同様で、日本で人気があったジョン・ボン・ジョビ、ボーイ・ジョージ、デュラン・デュラン、リチャード・マークスよりもU2のボノ、ブルース・スプリングティーン、ロッド・スチュワート、デビッド・リー・ロスの方がイケてる、と評されていた。1987年に発売されたKISSの「Crazy Nights」というアルバムの裏カバーにはメンバー4人の写真が載っているが、ボーカルのポール・スタンレーは上半身裸ですさまじい量の胸毛である。彼はMVでも胸毛を強調するファッションをしている。これが「素敵!」なのだとか。
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