球界をも揺るがすオンラインカジノ問題 「山岡だけ氏名公表」の裏にオリックスの“特殊事情” 「親会社の事業に支障が生じる」
オンラインカジノ問題が球界をも揺るがせている。
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山岡だけが“見せしめ”に
2月21日、オリックスは、山岡泰輔投手(29)が過去にカジノサイトを利用していたとして活動自粛を命じたと発表した。
これを受け、日本プロ野球機構(NPB)は12球団に調査を要請。8球団15人が自ら申し出たという。ただ、山岡以外は氏名が公表されず、処分も定かではない。NPBは、氏名公表や処分を各球団の判断に委ねるとしている。
山岡だけが見せしめにされている現状に、ファンからは「不公平だ」との声が噴出していて、
「NPBの中村勝彦事務局長すら『非常にかわいそうだなと思います』と漏らすほどです」
と大手紙記者が語る。
「コミッショナーが絶大な権限を持つメジャーリーグではあり得ない“丸投げ”ですけど、各球団の自主性が重んじられている――というと聞こえが良いですが、球団間の紛争の調整役に過ぎないNPBでは毎度のことですよ」
しかも、中村氏は1月に事務局長に就任したばかり。余計な波風を立てたくないという思惑もうかがえるが、
「“自首”した犯罪者の情報を捜査機関に提供せず、かといって処分も下さない。あまりに無責任ではないかという批判も出ています」
他球団にはない特殊な事情
NPBの及び腰にはあきれるが、逆にオリックスはなぜ山岡の氏名を迅速に公表し、処分を下したのか。
実は、オリックス・バファローズには他球団にない特殊な事情があった。親会社のオリックスがカジノ事業に参入しているのだ。
2016年に成立したIR(統合型リゾート)推進法に基づき、大阪府・市は夢洲(ゆめしま)に日本初のカジノを誘致。運営事業者は、オリックスと米MGM日本法人が共同出資する「大阪IR」なる会社で、昨秋には土地の引き渡しが行われた。大阪府の吉村洋文知事は「30年にIRが誕生することがほぼ確実になった」と述べている。つまり、
「球団に“カジノ”に対するネガティブイメージが付いてしまうと、親会社の大事業に支障が生じるため、山岡を厳しく処断せざるを得なかったのでは」