なぜモデルは「YouTuberでもなれる仕事」になった? 「CanCam」降板の中町綾と蛯原友里を比較してみると… 「“憧れのモデル”は一般人の参考にならない」
埼玉県・八潮市の道路陥没事故を巡る不適切発言を受け、「CanCam」(小学館)の専属モデルを降板することになったYouTuberの中町綾。かつて「CanCam」の黄金時代を支えた当時の人気モデルたちと、最近の「インフルエンサーモデル」の違いについて、ライターの冨士海ネコ氏に解説してもらった。
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人気モデルが出演したバラエティー番組を見て、「この人、しゃべらない方がよかったのでは……」と思ってしまったことは一度や二度ではない。それは自分の中に、モデル=浮世離れした高嶺の花、というイメージが根付いているからだ。わたしは「CanCam」で言えば「エビもえ優(蛯原友里、押切もえ、山田優)」時代のど真ん中世代だが、同世代の女性ならうなずいてくれる人も多いと思う。
それだけに、人気YouTuber・中町綾さんの八潮市の道路陥没事故を巡る舌禍事件にはびっくりしてしまった。事故に関するトークの直後に「秒で死んだら面白い」という発言をしたことが問題視されたのだが、実際には事故に関するコメントではなかった。しかし、そのノリの軽さも含めて批判の対象になったということだろう。発言もさることながら、「YouTuberが専属モデルをやるなんて、『CanCam』のブランドも落ちたものだ」と嘆く往年の「CanCam」ファンの声も聞こえてくる。
それにしても2000年代の「エビちゃんブーム」を生み出した、蛯原友里さんの影響力はすごかった。彼女が誌面で使った商品はバカ売れ、ヘアスタイルをまねする女性が急増。ゆるく髪を巻き甘口なスカートスタイルに身を包んだ女子大生や会社員が、街を闊歩していたものだ。CM出演したマクドナルドの「えびフィレオ」は期間限定商品だったが、あまりに売れたためにレギュラー化したという伝説まである。
一方の中町さんも負けてはいない。インスタのフォロワー数はエビちゃんを上回る142万人、SNSのフォロワー数とチャンネル登録者数は合わせて500万人を超える。自身のYouTubeで紹介した洗剤と柔軟剤の組み合わせは「中町綾セット」と呼ばれて大バズり。手がけたコスメブランド「ASUNE」も、コスメサイトでの評判は上々のよう。昨年8月にはアサイーボウル専門店もオープンし、連日大行列を記録した。しかし「量が少ない」「シャバシャバで水っぽい」「カチカチに凍ったまま」だったなどレビューは散々で、人気YouTuberのラファエルさんらも酷評したほど。けれどもその「炎上」を逆手に取り、保存方法や食感を変える改善を行ったとYouTubeで発表した後は、ポジティブな反応も増えている。
エビちゃんが出ていた頃は80万部の発行部数を誇っていた「CanCam」も、昨年9月までの年間平均部数を見ると6万部弱に激減。人気モデルに着せれば売れる時代が終わった今、YouTubeで商品を紹介するたび若者が飛びつくインフルエンサーの力を借りたいと思うのもやむを得ない。雑誌ブランドや雑誌モデルの品位が落ちた、という意見もあるが、ターゲットの若者層の購買行動が、20年前とは全く違うものになったことも大きいのだろう。
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