「別の人骨片が排水管から発見され…」 琵琶湖バラバラ殺人、74歳受刑者の焼き肉店で
人を殺し、切断して捨てる。杠共芳(ゆずりはともよし)受刑者(74)は、一度ならず二度までも鬼畜の所業に及んだことになる。2月27日、17年間未解決だった「琵琶湖バラバラ殺人事件」の容疑者として、滋賀県警に逮捕されたのだ。
「事件発覚は2008年です。5月から6月にかけて、近江八幡市や草津市といった琵琶湖周辺6カ所で、切断された脚や頭部などが相次いで発見されました」
と、社会部デスクが言う。
「県内かその周辺で当時39歳だった川本秀行さんの首をなんらかの方法で圧迫し、窒息死させたとされます。二人は草津市内の建設会社の元同僚。同じ作業員宿舎で生活し、よく、ラーメン屋や飲み屋にも連れだって出かけていました」
08年5月上旬、突如として川本さんの姿が消えた。
「杠はその後、“川本は盗みで警察に追われている”と周囲に話し、本人から譲り受けたとして川本さんの軽自動車に乗っていた。ほどなくして“琵琶湖事件”が発覚。県警が捜査にあたったものの、切断遺体の身元が特定できない状況が10年以上続きました」
18年8月に入り、事態は急展開する。草津市内の農業用排水路と川の2カ所で切断遺体が見つかり、杠容疑者が逮捕されたのである。
「草津事件」の全容
遺体は草津市内の無職、中川直(すなお)さん(69)=当時=だった。窒息死の可能性が高いとされる。
まずはこの「草津事件」を、地元記者が解説する。
「杠は建設会社を退職後、10年7月から滋賀県守山市内でキムチと焼肉の店『釜山』を経営していました。過去に建設現場で知り合った中川さんとは友人関係で、転居先をあっせんしたりする一方、その家賃を巡りトラブルにもなっていた」
遺体発見後の捜査では、
「中川さんのキャッシュカードで杠が現金約70万円を引き出していた事実が判明。杠の車には中川さんの死後の血痕が付いており、県警は自宅兼店舗の焼肉店で殺害したとして杠を逮捕しました。杠は否認を貫きましたが、19年12月、大津地裁は殺人や死体遺棄、損壊など四つの罪で懲役25年の判決を言い渡し、21年2月に最高裁で確定しています」
草津事件によって琵琶湖事件が急展開した経緯は、
「杠の周辺捜査で、知人の川本さんも行方不明になっていたことが分かった。県警が川本さんの運転免許の更新履歴やDNA型を調べた結果、遺体が川本さんだと確認されたのです。岡山刑務所で服役中の杠に任意で事情を聴くなどして捜査を進め、逮捕に至りました」
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