井端ジャパン「20歳の日米ハーフ右腕」をサプライズ招集も…最年長「30歳の長距離砲」が“連覇のキーマン”とされる理由
ホームランに活路を……
野球日本代表「侍ジャパン」が、3月5日と6日に行われたオランダとの強化試合に連勝した。それに先駆けて井端弘和監督(49)が報道陣の取材に応じ、来年3月に本番を迎える第6回ワールド・ベースボール・クラシック大会(WBC)で、まだ日本のファンに紹介されていない日系人投手を招集する可能性を示唆した。パドレス傘下のバルザー・ジョセフ・ブライアン投手(20)である。
【写真】サプライズ招集されるかもしれないパドレス傘下の日系人投手と井端監督の2ショット
「昨季はルーキーリーグで6試合を投げただけ。全てリリーフ登板で、まだ勝ち星を挙げていません。これからの投手だと思います。前任監督の栗山英樹氏(63)の時代から、『日本人メジャーリーガーや日系人選手も招集できるチームにしていかないと、侍ジャパンが発展しない』と考えるようになりました。そのため、膨大な日系人選手の資料を作り、侍ジャパンの裏方にも広く配布しています」(NPB関係者)
ブライアンは茨城県・常総学院高校を卒業している。コアな高校野球ファンの間では「剛球投手」として認知されていたそうだが、もし本当に招集されたら、マイナー組織の最下層であるルーキーリーグから世界デビュー……まさに“ジャパニーズドリーム”となりそうだ。
侍ジャパンに招集する日本人メジャーリーガーと国内のNPB選手について、井端監督は独自の選考基準を設けようとしている。投手陣はリリーフ層を厚く、さらに「国内組」には長打力を求める意向だという。6日のオランダ戦で侍ジャパンでは初アーチを放った、阪神・大山悠輔(30)が6年ぶりの代表復帰となったのはその一環だ。
「前回大会を振り返ると、準々決勝で主導権を握ったのは岡本和真(28)の3ランによるもので、準決勝のイタリア戦で同点に追いついたのは吉田正尚(30)のホームラン。決勝戦でも村上宗隆(25)のホームランで同点に追いつきました。結果的にホームランで試合を決めてきた以上、一発の脅威があるバッターを揃えないと、決勝ラウンドは厳しい展開になると思われます」(前出・同)
また、次回大会は侍ジャパンにとって不利な日程となることが予想される。予選プールC(東京)に振り分けられた日本は、「ベネズエラ、ドミニカ共和国、オランダ、イスラエル、予選通過国」のプールDの上位2チームのいずれかと対戦するが、こちらの大会会場はプールDの試合会場と同じローンデポ・パーク(米フロリダ州マイアミ)。移動距離のリスクは「予選プールC」を通過した側だけが負うことになる。そして決勝トーナメントはマイアミでの開催だ。
こうした“強制的なハンディ”を背負って強豪国と戦うことになった井端監督は、ホームランに活路を見出そうとしているわけだ。しかし、大山の再招集が決まった理由はそれだけではない。
強いボールを投げる投手
「今オフ、ポスティングシステムでのメジャーリーグ挑戦が既定路線となっているヤクルトの村上、近年中の米球界移籍が囁かれている巨人・岡本を26年3月の本番で本当に呼べるのかどうか、まだ確証がありません。大山の経験値に期待し、オランダとの2連戦で、同じく阪神の佐藤輝明(25)、中日・細川成也(26)、オリックス・太田椋(24)、日本ハム・水谷瞬(24)と長打力の高い選手を集めました」(前出・同)
井端監督は選出メンバー発表の会見で、佐藤、細川の名前を挙げて「(シーズンで)40、50本(を打つ)という可能性もある」と話していた。昨季の佐藤の本塁打数は16、細川は23本だ。近年、40本以上の本塁打を記録した日本人選手というと、22年の村上(56本)、同年と18、19年の山川穂高(33=47、43本)、23年の岡本(41本)だけだ。昨季16本塁打の佐藤と23本の細川は倍以上を打たなければならない計算で、日本のプロ野球界は「投高打低」の傾向にある。それでも、「40、50本は打てる」と言ったところに井端監督の長打力優先の思いの強さも窺える。
「オランダとの初戦で、水谷が先頭打者ホームランを放ちました。対戦する投手が初見となる国際試合ではとくにそうなんですが、ボールを見極め、出塁を重視してコンパクトスイングを心掛けます。でも、今回に限っては強振を指示していました」(前出・同)
また、井端監督は今回の初招集選手に多くの左腕リリーバーを加えた。日本ハム・河野竜生(26)、中日・橋本侑樹(27)、広島・塹江敦哉(28)、オリックス・曽谷龍平(24)がそうだ。当初の構想では楽天・鈴木翔天(28)に左の救援の中心を任す予定でいた。しかし、鈴木は怪我が多い。今回の招集を見送ったのは無理をさせたくないからで、26年WBC本番にも鈴木を欠く可能性があり、それに代わる人材を見出そうとしている。
「鈴木の強いストレートにはパ・リーグの対戦チームも一目を置いています。右投手ではありますが、『強いボール』を投げられるということでバルザー・ジョセフ・ブライアンの名前が浮上してきたんです。次回WBCでは投球間隔の時間制限を設けるピッチクイックのルールが採用されますが、ワンポイント・リリーフは禁止にならない予定です。ディフェンス面では左のリリーバーがカギになりそうです」(スポーツ紙記者)
[1/2ページ]