予算10億円の「虐待判定AI」が導入見送りに…専門家が「子ども家庭庁に批判が殺到するのは当然」と断じる理由 「AI開発よりも児相職員の給料を上げた方がよほど虐待抑止につながる」

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不必要な省庁

 ただし山脇さんは、こども家庭庁が注力すべきは、あくまでも貧困家庭と児童虐待の対策だと考えている。ところが、こちらの面でもこども家庭庁の存在感は見えてこない。

「児相で退職者が相次いでいるように、教育現場でも人手不足が深刻です。何しろ『児童や生徒を叱るな』が最優先の命令で先生や教諭はがんじがらめで、子供たちの指導に弊害が出ているのです。時には子供を強く叱る必要があるはずなのに、それが不可能になっています。今の日本は『子供を産むことに躊躇を感じる社会』だけでなく、『子供の教育に携わることにも躊躇する社会』になりつつあります。こども家庭庁が児相や教育現場の悲鳴に耳を傾けなければ、貧困や虐待の問題は解決できません。本当にこども家庭庁は不要な省庁になってしまうと思います」(同・山脇さん)

 AIで虐待を判定するのは至難の業だろう。実際、時代の移り変わりとともに虐待にも変化が生じている。関連記事【「教育熱心と虐待は紙一重」 中学受験ブームに潜む「教育虐待」の闇 「勉強ができない息子を父親が刺し殺したケースも」】では、過熱し続ける中学受験の影響を紹介している。

註:10億円かけた虐待判定A.I.、こども家庭庁が導入見送り…ミス6割で「実用化困難」(読売新聞オンライン:3月3日)

デイリー新潮編集部

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