冬ドラマ10本「視聴率ランキング」 「相棒」を抑えてトップに立った「ミステリー×教育ドラマ」

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冬ドラマの視聴率の行方

 冬ドラマの個人視聴率ベストテンを書き表したい。

 なお、個人視聴率の1%は関東地区では推計約39.9万人、全国では同約116.1万人となる。

※2月17~23日、ビデオリサーチ調べ、関東地区

(1)TBS「日曜劇場 御上先生」(日曜午後9時)23日放送の第6回、5.6%

(2)テレビ朝日「相棒23」(水曜午後9時)19日放送の第16回、5.3%

(3)フジテレビ「119エマージェンシーコール」(月曜午後9時)17日放送の第5回、4.2%

「御上先生」は今後、生徒たちが巣立ち、一方でさまざまな謎が解けるから、さらに数字が伸びるのは間違いない。

 文部科学省からエリート進学高・隣徳学院に一教師として出向してきた主人公・御上孝(松坂桃李)は、同校の闇と秘かに戦っていた。御上の赴任は単なる左遷ではなかった。

 一方で御上は3年2組の担任として難しい年代の生徒と誠実に接している。ミステリーと教育ドラマがバランスよく融合している。

 TBS「ライオンの隠れ家」(昨年12月放送終了)はミステリーと肉親愛を問うヒューマンドラマが合体していた。ミステリーとほかのジャンルをミックスさせたドラマが最近のトレンドの1つになりつつある。

「御上先生」で胸を打つのは教育ドラマの部分ではないか。御上は生徒たちに対し、高圧的な指導を一切しない。生徒の価値観も決して否定しない。生徒間で問題が起きたら、生徒たちに解決させる。昭和の一般的な教師とは大違いである。

 教師としての御上のスタンスはBGMで流れる「仰げば尊し」(19世紀、米国曲)の原曲に込められているのだろう。日本語版には「わが師の恩」と、教師への感謝の言葉があったり、「身を立て 名をあげ」と立身出世主義が強調されていたりするが、原曲は全く異なる。

〈我らはいつか思い出す 愛と真実の場を 汝(なんじ)こそ最愛の思い出 我らが若き日の教室よ〉

 教師も出世も出てこない。ひたすら友人たちとの出会いと一緒に過ごした日々に感謝し、別れを惜しむ。

 昨年10月にスタートした「相棒」は相変わらず強い。主人公の杉下右京を演じている水谷豊(72)がお手本のような演技を見せている上、共演陣やゲストにも足を引っ張る人が1人としていないからだろう。脚本と演出にも力がある。

「119」はこの1年間で放送された5本の「月9」(フジの月曜午後9時台のドラマ)の中で最も個人視聴率が高い。このドラマに限ると、昨年12月中旬から始まったフジ騒動の影響は見られない。

 描かれているのは消防局の通信指令センターの指令管制員たち。過去の消防ドラマは大半が火災を消す消防士たちを描いたが、今回は異なる。それもあって新鮮な作風だ。

 主人公で通報者思いの指令管制員・粕原雪役を清野菜名(30)が好演している。

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