「カンニング竹山が寝ている!」騒動で再燃した「ワイプ」不要論 “VTRの邪魔”との声も根強く
毎年のように現れては消えるワイプ不要論。ワイプとはテレビ番組でVTRを流す際、それを見ているスタジオの出演者の表情を映すために画面の隅に入れる小窓のことだ。その不要論が再燃しているという。
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最近のきっかけは2月15日放送の「情報7daysニュースキャスター」(TBS)と20日放送の「ゴゴスマ~GO GO!Smile!~」(TBS/CBCテレビ制作)だったと話すのは民放プロデューサーだ。
「『Nキャス』では就職氷河期の特集VTRが放送されているときに出演者が笑っている様子がワイプで映され、ネット上で“不謹慎”と騒がれました。『ゴゴスマ』ではワイプで抜かれたコメンテーターのカンニング竹山さんが“寝ている”と、同じくネットで叩かれました」
どちらもTBS系の情報番組だ。
「制作したのはそれぞれ別の放送局ですが、どちらも生放送でした。不謹慎に見えたり寝ているように見えたりするワイプを入れたのは、スタッフのミスと言わざるを得ません」
竹山はかなり疲れていたようだ、という声もある。
「寝ているように見えるタイミングでワイプを入れなければいいだけのことです。出演者が非難されないように対応するのは当たり前のことですから」
生放送ではなかったが、昨年9月16日に放送された特番「今夜復活!8時だョ!全員集合 不適切だけど笑っちゃう!ドリフ伝説コントBEST20!」(TBS)も猛烈な批判を浴びた。
ワイプの“発明者”
「これもTBSでしたね。『8時だョ!全員集合』や『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』の傑作コントを集めた3時間半スペシャルでした。コントのVTRの最中にゲストを映したワイプや解説のテロップが表示されたため、“邪魔”“野暮”といった批判が溢れたのです。この番組は生放送ではないので、編集がマズかったということです」
いつ頃からワイプは使われているのだろう。
「ワイプの技法はかなり昔からありましたが、現在のような使い方は日本テレビの『世界まる見え!テレビ特捜部』が始めたと言われています」
世界各国で放送されている番組を厳選して紹介する「まる見え」は1990年7月に所ジョージと楠田枝里子のMCでレギュラー化されたが、間つなぎ番組だったため予定通り3カ月で終了。しかし、予想外に好評だったため、翌年4月からビートたけしを加えて復活した。戸部田誠・著「全部やれ。~日本テレビ えげつない勝ち方~」(文藝春秋)には番組のチーフプロデューサーを務めた吉川圭三氏が登場する。彼がワイプの“発明者”だ。
《「あれは私の罪ですね」と苦笑いをしながら吉川はワイプ誕生の経緯を語ってくれた。/もともと番組の素材として、ものすごく良いドキュメンタリーがあった。どんなに短く編集しても18分弱の放送尺が必要だった。だが、この長さでは、見ている人が何の番組を見ているのか分からなくなってしまいかねない。普通ならVTRを前半と後半に分け、一旦スタジオに降り、司会者たちに少し感想を言ってもらってから後半に行くというのが正攻法だったろう。だが、それではこのVTRの良さが損なわれてしまうと吉川は思った》(「全部やれ。~日本テレビ えげつない勝ち方~」より)
そこで加えられたのが、たけし、所、楠田の3人がVTRを見ているワイプだった。そして吉川氏はこう付け加える。
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