石破首相に退陣要求した男・西田昌司議員が指摘する「戦後財政政策」の誤り 「官僚は教わった学説を一方的に信じているだけ」
「火あぶり」になっても地動説
――もう少し詳しく。
学者や官僚はよく「民間に国債を買ってもらうと国民の預貯金を減らすので、景気が上向いて民間側が進んでお金を使おうとしても、出回っているお金の量が減っているから金利が上がって経済に悪影響を与える。よって財政出動や公共事業はそれほど効果がない」という説明をする。こういう誤りは「国民の預貯金から貸し出すので、結果的に金利を上昇させる」という前提で考えることから生じる。信用創造とは「何もないところから負債と資産が出てくる仕組み」ということを理解していない。
また、民間企業であれば借入金は銀行に返済せねばならないのに対し、政府の借入金である国債は償還期限が来ると、新たに「借り換え債」を発行して差し替えるだけであり、事実上返済していない。さらに先に述べた通り、国債残高の半分を日銀が保有しているため、利払い費の半分は政府に戻って来ている。財政破綻のしようがない。
――財政政策の転換はあり得るのか。
政府はこうした事実に目を向けず、誤った政策に固執している。しかし、例えて言うと、最初は太陽が地球の周りを回っているとする「天動説」が唱えられていたが、地球が太陽の周りを回る「地動説」が正しいと改めた「コペルニクスの転換」の歴史がある。地動説に変わるまで何百年かかったことも、日本の状況とよく似ている。忘れてはならないのは、地動説を主張していた人は、それが認められるまで迫害され、大量に火あぶりで処刑されていったことだ。これも今のわが国のようだ。
国民の血税を大切に使うモラルは必要だが、科学的事実と倫理は分けて考えなければならない。本当の優秀さとは、教科書を理解する頭脳だけではなく、同時に現実を見て自分で解決策を考え出せることだ。政治家や官僚、学者は自分が教わった学説を一方的に信じているだけではいけない。
【前編】では日本経済の現状と、政府の財政政策への評価を語っている。
[3/3ページ]