浮上する「創業家に欠けていた2つのもの」 関係者の間でささやかれるMBO失敗の“本質的な原因”とは

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創業家側の二つの問題

 ただし、さる外資系ファンド関係者によれば、

「集めるお金が9兆円と巨額だったため、プレイヤー(出資者候補)が多くなり、スキームが複雑化したのは事実。けれど関係者の間でささやかれている失敗の本質は、創業家側の二つの“問題”です」

 と明かす。尚子氏と順朗氏がMBOを画策したのは「セブンを守る」との思いからだが、

「本来であれば国が関与してもおかしくないスケールの買収案件であり、だからこそ強いリーダーシップが求められた。しかし順朗氏は“何があっても、私が絶対にまとめ上げる”といった気概を最後まで見せることはなかったそうです。出資候補から脱落者が出ても、順朗氏が揺るがない意志を示せば、結果は違ったかもしれない。でも育ちの良さからか、そういった突破力や剛腕さが彼には欠けていたといいます」(同)

困難を乗り越えるすべなく

 意志の強さという点では、意外にも尚子氏に期待する声の方が多くあったそうだ。かつてセブン会長だった鈴木敏文氏が子会社社長(当時)の井阪氏を解任する人事案を創業家に提案した際、毅然とした態度ではねつけたのも尚子氏だったとされる。

「尚子さんは社会貢献活動に積極的で、雅俊氏が設立した財団で理事長も務めていますが、肝心のビジネスの実務経験はありません。今回も、スキームが瓦解するのを止めるすべを持ち得なかったと指摘されています」(前出のファンド関係者)

 その尚子氏に取材を申し入れたが、「お話しすることはございません」と答えるのみだった。

 4日、創業家はMBO計画の撤回を正式に発表したが、セブンに新たな対抗策はあるのか。買収を諦めないクシュタールの次なる計画と、対するセブンが取り得る手段については、3月6日発売の「週刊新潮」に詳しい。

週刊新潮 2025年3月13日号掲載

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