山下智久「正直不動産」が映画化決定も…NHKは連ドラ映画化の“黒歴史”から教訓を見出せるか
NHKが映画製作に乗り出した理由
中居正広氏と女性トラブルが発端となった一連の問題により、CMスポンサーが出稿を見合わせているフジテレビは、ここに来てACのCM放映を極力セーブ。それに代わり、自社が出資する公開中の映画「アンダーニンジャ」と「知らないカノジョ」の番宣に時間を割いている。CMが入らないとはいえ、映画の宣伝にふんだんに時間を使えるのは民放ならではだ。
フジ以外の民放各局も映画製作に出資をしているが、実は一時期、NHKも放送した連続ドラマの映画化に力を入れていたことがあった。
「07年に大森南朋さん(53)主演で『ハゲタカ』を放送。09年に東宝の配給で公開されましたが、興収は8.3億円。ヒットの目安である10億円には届きませんでした。続いて09年に渡部篤郎さん(56)が主演したドラマ『外事警察』を、12年に東映の配給で劇場公開しましたが、興収は3.3億円にとどまりました。そして、10年には鈴木京香さん(56)と、長谷川博己さん(47)演じる既婚者との不倫愛を描いたオリジナルドラマ『セカンドバージン』を放送。11年に松竹の配給で公開し、公開直前には鈴木さんと長谷川さんの熱愛発覚という“プロモーション”もありましたが、興収は4.3億円でした。23年公開の『岸辺露伴ルーヴルへ行く』は興収12.5億のヒットとなりましたが、NHKの実写ドラマの映画化で“10億超え”はこれが初めてです」(同前)
昨年6月に発表されたNHKの23年度の決算(単体)によると、受信料収入は、前年度より396億円減の6328億円となり、下げ幅は過去最大に。23年10月に受信料を1割値下げしたことなどが影響し、5年連続の減収となってしまった。
「もはや、以前のように受信料を番組の制作に回しているだけでは済まされず、職員が自分たちで稼げるコンテンツを生み出さなければならない状況になりました。これまでは国内の映画会社とタッグを組みましたが、今作の配給は外資系のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントです。潤沢な資金力で、宣伝やタイアップに力を入れる構えのようです。ただ、NHKだけでは番宣できる番組も限られています。なので、他局での番宣もあるでしょうし、原作のコミックを出している出版社によるキャンペーン、さらには、不動産業界も巻き込んでのPRもあるのでは」(先の記者)
山Pは持っている?
大役を与えられた山下だが、「コード・ブルー」での“成功体験”がそのまま当てはまることはないのでは、というもう一つの指摘もある。
というのも、山下の出る映画はどれも大当たりするというわけではないようだ。あの、不朽の名作を実写映画化した『あしたのジョー』(11年)では、主人公の矢吹丈になりきるためプロボクサー並みのトレーニングを行い、約10キロの減量と体脂肪率を10%近く落とすなど、過酷なスケジュールの下で撮影に臨んだ。
「ところが公開されると、丹下段平役で“リミッター”が外れた香川照之さん(59)のインパクトには勝てず、興収は11億円と微妙でした。実写化不可能と言われた人気コミックの『テラフォーマーズ』(16年)は3番手での出演でしたが、興収は7.8億円と期待外れ。鑑賞した原作のファンからは酷評が相次ぎました。そう考えると、『コード・ブルー』は驚異的な数字だったといえます。山下さんは『コード・ブルー』の役柄のようにクールであまりセリフのない役の方がハマっています。演技力の問題ではなく、佇まいで魅せます。その点、『正直不動産』はセリフが多く、感情の起伏を前面に押し出すこともある役なので、決してハマリ役ではないのでは」(映画担当記者)
山Pも正念場かもしれない。
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