「実家片づけ」で子どもが親に言ってはいけない”3大禁句”とは? 散らかった家に住む親に片づけを納得させる方法

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実家片づけの本質

 老いた親の家を片づける。こう言うと「終活」の一種と想像する方が多いかもしれません。遠からず訪れるであろう親の最期に備えて、親の人生そのものを“片づける”。そんなちょっと暗いイメージを持っているとした場合、親からすれば「まだ早い」「自分が死ぬのを待っているのか」と不快感を覚えるかもしれませんし、子どもからしても「親の死を前提にした話は何となく切り出しにくい」と感じ、いずれにしても先延ばしになってしまいがちです。

 しかし、私は実家片づけを終活とは捉えていません。親が実家でこれからの人生をより快適に、より自由に、より自分の思うままに生きていくための作業であり、そして子どもが今後の生活で困らないようにするための前向きなもの、それが実家片づけなのです。

 実家を片づけることによって、「モノ」が整頓されて過ごしやすくなり、介護スペースも確保できる。また、生命保険の証書や不動産の売買契約書といった「金目の紙」が整理されて金銭にまつわる将来の不安を払拭できる。つまりは「まだ見ぬ未来に向けた暮らしの再構築」――これこそが実家片づけの本質なのです。

“アリバイ作り”の重要性

 では、いざ実家片づけに着手しようとした時に大切なこととは何でしょうか。

 一つは根回しです。きょうだいや親戚に知らせず勝手に進めてしまうと、後になって「親の財産を独り占めしようとしているのではないか」などと、あらぬ誤解を招いてしまいかねません。そのため、「親もそろそろ年だし、実家を片づけたほうがいいと思うんだけど」などと、前もって同意を得ておき、一人で勝手にやったのではないという“アリバイ作り”をしておかないとトラブルの種になります。

 もちろん、親自身を納得させる作業も必要不可欠です。私の感覚としては、子どもが実家片づけを切り出すと9割の親が反対します。「そんな必要はない」と拒否したり、「いつか自分たちでするつもりだから大丈夫」(結局「いつか」は来ないので、私は「するする詐欺」と呼んでいます)と言ったり、抵抗する方が非常に多いのです。いずれにしても、実家は「親が住んでいる家」ですから、親に納得してもらわないと実家片づけは順調に運びません。

「素敵な未来」が待っているとイメージしてもらう

 どうやったら親に受け入れてもらえるのか。例えば、先ほど実家片づけは終活ではないと記した通り、片づけることによって「素敵な未来」が待っていると具体的にイメージしてもらうことです。きれいに片づいていかにも使いやすそうなキッチンの写真を見てもらったり、モノを整理したことで車椅子が通れるスペースを確保でき、介護しやすくなったリビングの写真を見てもらったり、あるいは部屋がきれいになったら孫が遊びに来やすいね、と伝えたり。

 逆に「知り合いが、家が散らかっていたせいでモノにつまずいて転んじゃって、入院して大変だったんだって」とか、「友達の家、親が認知症になっちゃって家族がどこに通帳があるのか分からず、お金を引き出せなくて介護費用に困ったんだって。ちゃんとしておかないとまずいよね」とか、家を片づけておかないとこの先の人生で不便が生じる、というイメージを持ってもらうのでもいいと思います。

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