「マクロス」「ウルトラマン」への思いを語る「シンガポールの鬼才」 完成まで12年の「ロボットアクション映画」がリベンジ公開中
映画「メカバース 少年とロボット」
シンガポール発のSFロボットアクション映画「メカバース 少年とロボット」が2月28日から全国50館のイオンシネマで公開中だ。本作は、企画プロデュース、監督、脚本、撮影、音楽、美術、衣装、VFX監修、出演まで、一人のクリエイターが手掛け、製作に12年をかけた意欲作。2023年に公開されたが、今回は仕切り直しのリベンジ公開となる。緊急来日したリッチ・ホー監督(45)が、その舞台裏を明かした。
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本作は、人類が宇宙へ進出した未来を舞台に、幼い頃に戦争で両親を失った少年・カイが、相棒のロボット「リトルドラゴン」のパイロットとなり、地球を侵略する火星帝国軍に立ち向かうアクション作品。ロボット同士のバトルシーンが見どころだ。日本公開版は全編吹き替えで、主人公・カイを「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」の小野賢章、ロボットのリトルドラゴンを「鬼滅の刃」の花江夏樹が担当している。
驚くべきは、シンガポールの映像作家が、企画、プロデュース、監督、脚本、撮影、音楽、美術、衣装、VFX監修、出演まで担い、撮影に7年、完成までに12年を費やしたことだ。
「企画当初、こんなに時間がかかるとは思っていませんでした。これは私一人で成し遂げたわけではなく、多くの仲間が支えてくれました。ポスターにも書いた通り、NEVER ALONE, NEVER GIVE UP(ひとりじゃない、諦めるな)という思いです」
こう語るのは、映画監督らしからぬ鍛え上げられた体格のリッチ・ホー氏。医師の家系に育ち、中学生の頃から映画製作を始め、14歳の時には全国音楽作曲コンクールで最年少優勝を果たした。25歳の時には短編デジタル映画が、台湾のアカデミー賞と称される「金馬奨」にシンガポール人として初めてノミネートされるなど、異才を放っていた。
「父親はとても厳しい人でした。だから中学・高校では真面目に勉強し、大学では経済学を専攻しました。2年4カ月の兵役では、撮影の経験を買われ、戦闘トレーニングのビデオを3本制作しました。単なるHow toビデオではなく、面白さを追求し、300人の兵士による突撃シーンも撮影しました。上官には大好評でしたね。2004年に金馬奨にノミネートされたことで、多くのオファーを受けましたが、金のために働くことに違和感を覚え、07年から5年間、業界を離れ、教会で働いていました」
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