対照的な補強策「巨人」と「阪神」の今季はどうなる? 両チームで“4番を打った”レジェンドが「打線が機能すれば、阪神の優勝は間違いない」と断じる理由

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 プロ野球のセ・リーグは昨シーズン、巨人が77勝59敗7分でペナントレースを制し、2位の阪神は74勝63敗6分で涙を飲んだ。しかもCSで3位のDeNAに敗れるという“下剋上”の屈辱も共に味わった。両チームとも絶対に優勝し、昨年のリベンジを果たすという決意は固いに違いない。

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 巨人と阪神の今シーズンはどうか──。プロ野球ファンの関心を集めているのは、両チームの対照的な補強だ。巨人は久しぶりの大型補強に踏み切った。

 中日の守護神、ライデル・マルティネス(28)を4年総額50億円超、ソフトバンクで国内FA権を行使した捕手の甲斐拓也(32)を5年総額20億円超、自由契約となった楽天の投手、田中将大(36)を1年1億6000万円プラス出来高で獲得。さらにアストロズの外野手、トレイ・キャベッジ(27)と1年2億円で契約した。豪華な顔ぶれを日刊スポーツは「総額64億円補強」と報じた(註)。

 一方の阪神は、外国人選手の獲得などには動いたが、基本的には資金を「FAの権利を取得した自軍選手の引き留め」に集中させた。その結果、国内FA権を行使した内野手の大山悠輔(30)と原口文仁(32)は残留。さらに内野手の糸原健斗(32)と捕手の坂本誠志郎(31)は行使自体を見送った。

 新戦力獲得にカネを惜しみなく使った巨人と、主力選手の流出阻止に専念した阪神を、両チームのOBである野球評論家の広澤克実氏はどう見ているのか、話を聞いた。

「補強とは『弱いところを補う』のが鉄則です。その視点から見ると、巨人の補強には疑問符が浮かびます。昨シーズンまで巨人の守護神は大勢くん(25)で何の問題もありませんでした。にもかかわらず、なぜマルティネスを取得したのでしょうか」

田中将大の衰え

 甲斐も同じだ。もともと広澤氏は、巨人の捕手は小林誠司(35)、大城卓三(32)、岸田行倫(28)の3人をローテーションで回すべきだと主張してきた。

「状況に応じて3人を使っていけば、わざわざ甲斐くんを獲得する必要はなかったのではないでしょうか。巨人の正捕手だった阿部慎之助監督(45)に、後進の生え抜き捕手を育ててほしいと願っているファンは今でも少なくないはずです。さらに甲斐くんはバッティングに不安要素があります。指名打者制ではないセ・リーグでは甲斐くんの8番と投手の9番が連続してアウトになる可能性もあり、これは懸念材料でしょう」(同・広澤氏)

 連日、大きく報じられているのが投手の田中将大だ。しかし実際のところ、勝ち星だけを見れば、日本に戻ってきてからの田中はぱっとしない。2021年から復帰し、昨年まで4シーズンを投げた。だが最高の勝ち星は22年の9勝で、二桁勝利は一度もない。

「巨人が優勝できたのは、率直に言って阪神が負けたからです。その上で“嬉しい誤算”として菅野智之くん(35)の活躍が挙げられます。15勝3敗という二桁勝利だったわけですが、渡米した菅野くんの穴を田中くんが埋められるかどうか……。正直なところ私は、悲観的な見通しです。少なくとも2月24日のオープン戦での登板は、往時のフォームと比べると衰えは隠せないと思います」(同・広澤氏)

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