「自殺したくて堪らず、抗うつ剤を…」 日本で暮らすウクライナ避難民の苦境 「会社で働くのは難しく、外国人パブで週6日勤務」
外国人パプで働き、月収は約30万円
英語は話せるが、やはり日本語の壁は厚かったようで、彼女はその後、都内の外国人パブで働くようになった。
「前より稼げるようになって週6日働いて30万円前後。自分が生活するのに必死だから家族に送金はできないし、飛行機代が高いのでまだ一度も帰国していません。お客さんと話しながら日本語を学び、効率的に稼ぐという意味では良い職場かと思うけど、先のことは分からず不安です」
店には似た境遇のウクライナ人女性が他に10人ほど働いている。先々の見通しは立っていない。
母国にドローンや支援物資を寄付
前編で紹介した、ヴィクトリア・コヴァロクさん(27)は、葛飾区にある無償の支援住宅に住み、一般社団法人「日本臨床心理士会」が運営する、ウクライナの避難民のための心理サポートの仕事に就いている。彼女は言う。
「私の役割は、避難民の窓口として、どんな問題があり、どんなサポートが必要かヒアリングすることです。例えば、病院はどこにあるかなど、日常的な生活のサポートも行っています」
収入はこの仕事を含め多い月で20万円ほどになる。生活費が余れば支援し、またSNSを通じて募金活動を行い、そのお金でドローンや他の支援物資を買ってウクライナに送っている。
「日本では、募金で集めたお金で軍事的な支援をすることはできないので、軍事用のドローンではなく、物資の運搬や孤立した人を探索するためのドローンです。値段は1台25万~35万円ぐらいします。インターネットで安いのを探したり、中古だったり、できるだけ安く買っていました」
これまで自身が一時帰国した時や、仲間がウクライナを訪問する際に手荷物として13台を持ち込んだという。
「日本の経済に極力負担がかからないようにすべき」
彼女から見て、日本の支援は十分であったか。
「私は日本に来る時に、支援には期限があり、いつか終わるものだと理解していました。3年間という期間は日本社会に慣れるには十分で、自分で仕事を見つけて働けるなら、自立した方がいいと思います。これまで十分にサポートしてもらっていますので、これ以上は、日本の経済に極力負担がかからないようにすべきだと思います」
ただし、とこうも付け加える。
「幼い子供を育てているシングルマザーや、高齢で仕事をするのが難しい人に対しては、支援を続けた方がいいと思っています」
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