「月15万円稼いでいればよい方」「高齢者は引きこもって生活」 日本で暮らすウクライナ避難民のリアル 「支援への熱は冷めきっている」

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支援に対する熱が冷めた?

 現在、日本に在留するウクライナ人の避難民は、今年1月末の時点で1982人になる。ウクライナでは総動員令が発令されており、18歳から60歳までの男性は原則出国禁止なので、避難民の8割は女性、その他は高齢者や若年層の男性となる。だが、ここへきて日本は支援に対する熱がすっかり冷めてしまっているようなのだ。

 加藤理事によれば、

「私の地元の横浜市は、これまで150人ほどの避難民を受け入れ、他の自治体に比べその人数は圧倒的に多い。しかし、昨年3月に住宅支援の新規受け入れを止めてしまった。市営住宅に入居したのが50世帯70名ほど。家賃は横浜市の全額負担ですが、去年から市の予算が大幅に削減され、そのうち家賃補助も打ち切られる可能性があります」

「高齢者はほとんど家に引きこもって、極限まで食費を切り詰めて生活」

 これまで避難民には日本財団から1人当たり年間100万円が支給されてきた。しかし、支援は3年間に限られ、侵攻当初の早い時期に亡命してきた人々は、今年3月から順次、支援を打ち切られることになる。

 代わりに、日本財団は帰国を希望する者に対して1人当たり30万円の支度金と航空券を支給する「帰国支援」にかじを切ったが、現地ではいつ停戦が実現するか不透明であり、

「帰りたくても帰れない人はたくさんいますし、破壊され家がない人、故郷がロシア領になってしまった人も大勢います。一方で、日本語が十分に理解できて、支援なしに自立できる人はごく一部に過ぎません」(加藤理事)

 日本の場合、政府は避難民の受け入れを決めたものの、その後は日本財団や各自治体に支援を丸投げしている。ドイツでは、国がドイツ語の習得支援から働き先のあっせんまで行っているのとは大きな違いがある。彼らは日本語ができなければ仕事を選ぶこともできない。どうやって生計を立てているのか。

「避難民はコンビニや飲食店、量販店などでアルバイトしている人が多く、月15万円稼いでいればよい方でしょう。健康的でやる気のある人なら頑張って働けますが、慣れない日本での避難生活によりメンタルの問題を抱えている人もいる。高齢者はほとんど家に引きこもって、極限まで食費を切り詰めて生活しています」(同)

 支援の打ち切りで、大半の避難民は追い詰められているというのが実情なのだ。

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