姫路城の入場料「市民以外1000円→2500円」でもまだ安すぎる もっと取るべき納得の理由

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向こう10年の保存修理費は280億円

 姫路城の入場料は現在、大人(18才以上)が1,000円だが、姫路市は2026年3月から、姫路市民以外を対象に2,500円に値上げする方針を固めた。一時は外国人だけいまの4倍以上の30ドル(約4,700円)にするという値上げ案が報じられ、賛否両論沸き起こったが、市民以外は2・5倍という結論に落ち着いた。

 事の発端は昨年6月中旬、姫路市の清元秀泰市長が国際会議の場で、「城の保存にはお金がかかる。姫路城は7ドルで入れる。もっと値上げしようかなと思っている」「外国人には30ドル払ってもらい、市民は5ドルくらいにしたい」と発言したことだった。市長のこの意見表明に対しては、外国人への差別感がある、という声から、違憲ではないか、という見解まで飛び出して、波紋が広がっていた。

 先に結論をいえば、外国人と日本人とで二重価格をもうける余地もあったとは思うものの、無難な落とし所に行き着いたとは思う。ただし、入場料は2・5倍どころか、もっと高くしても良かったのではないだろうか。

 この問題を考えるうえで見失ってはならないのは、姫路城の保存には莫大な費用がかかるという事実である。姫路市は今後10年間で保存や改修に要する費用を、およそ280億円と試算している。向こう10年の保存修理計画によれば、日常的な屋根瓦や漆喰壁などの修復に加え、城内にある動物園を移転し、埋め立てられた内堀の復元もふくめて跡地を整備することが予定されている。

 当面は解体修理のような大規模な保存修理は計画されていないが、物価や人件費の高騰もあって、いわば日常的な軽微な修理にもかなりの費用を要する。長期的には必須の大規模な保存修理についても勘案すると、桁を超えて費用は膨らむはずである。

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