ウクライナ軍がドローンで北朝鮮兵を“殲滅”する動画の衝撃…専門家は「遠くない将来ドローンは自分で敵を見つけて攻撃するようになる」
バイラクタルとスイッチブレード
「緒戦で注目されたのはトルコ製の『バイラクタルTB2』でした。ただし、バイラクタルは長さ6・5メートル、翼幅12メートルという大きさで、一般的にドローンという言葉から連想する機体とは全く違います。むしろ『無人攻撃機』という表現のほうがぴったりくるでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)
ロシア軍は大軍を動員してウクライナを攻撃したが、ウクライナは持ち堪えた。その際、バイラクタルが多数のロシア軍戦車を破壊したという戦果が明らかになった。たちまちバイラクタルは救世主として人気を集め、「バイラクタルの歌」まで作られたことは記憶に新しい。
「次に注目されたのは、アメリカの無人小型機メーカーが兵器として開発した小型ドローンでした。代表格はスイッチブレードで、これは兵士が携帯して運べる大きさです。搭載されたカメラが撮影した動画は操縦士に配信されます。それを見ながら操作するところはFPVドローンと同じです。と言うより、小型のドローンが偵察だけでなく攻撃にも極めて有効だと戦場で実証されたことから、民生用のドローンも兵器として活用されるようになったのです」(同・軍事ジャーナリスト)
さらなる性能アップ
自爆攻撃に使われる民生用のドローンは、相当に性能がいいものでも10万円台で調達できる。これに対戦車ロケット弾の弾頭を搭載して突っ込ませると、数億円の戦車を破壊することも可能だ。しかもさらに性能がアップされるのは間違いないという。
「現在のドローンは電波を使って操縦しています。そのため妨害電波を放ってドローンを使用不能にする技術も発達してきました。しかし、それほど遠くない将来、操縦の必要がない無人ドローンが自分で敵を見つけて自分で攻撃するようになるでしょう。偵察用のドローンが敵の戦車や兵士を発見して撮影すると、画像などの基本データを攻撃用のドローンに転送します。攻撃用のドローンは画像をAIで解析し、温度を感知するセンサーなども活用して目標に向かうわけです」(同・軍事ジャーナリスト)
全世界の軍隊がウクライナ戦争を注視し、どう戦場でドローンを活用すべきか戦術を練っているのは間違いないという。
「ドローンが重要な兵器になるのは間違いありません。ただし戦争の雌雄を決するだけの威力があると考えるのは過剰評価でしょう。ドローンを効果的に運用すれば、敵軍の兵士や戦争に相当の被害を与えることは可能です。特に数億円の戦車がドローンの餌食になれば、戦費にも大きな影響を与えるはずです。しかし戦争の最終目標は敵国の占領です。戦略爆撃機や攻撃機による空爆、榴弾砲や地対地ミサイルの一斉射撃のほうが敵軍に甚大な被害を与えるのは言うまでもありません。あくまでも副次的な兵器と位置づけた上で、軍事用ドローンの改良を進めていくことが重要だと考えられます」(同・軍事ジャーナリスト)