ウクライナ軍がドローンで北朝鮮兵を“殲滅”する動画の衝撃…専門家は「遠くない将来ドローンは自分で敵を見つけて攻撃するようになる」

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 ウクライナ特殊作戦軍は昨年12月23日、Xに衝撃的な動画を公開した。ドローンのカメラがアジア系の兵士が逃げ回る様子を撮影。その中の1人は両手で頭を防御するようにして雪原に座り込むと、まもなくして映像は途切れた。特殊作戦軍の説明によると、第8連隊に所属するFPVドローンの操縦士は、たった1人で77人の北朝鮮兵を“殲滅した(destroyed)”という。

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 動画が撮影されたのはロシア・クルクス州の最前線。画面に映し出されたアジア系の兵士は北朝鮮兵とみられる。ちなみに特殊作戦軍は「3日間の戦闘で1人の操縦士が77人の北朝鮮兵を殲滅した」と発表している。軍事ジャーナリストが言う。

「特殊作戦軍の発表にある『FPVドローン』のFPVとはFirst Person Viewの略語で、一人称視点という意味です。操縦士はゴーグルを装着し、ドローンのカメラが捉えた映像に没入しながら機体を操ります。ドローンは純粋な民生用、つまり一般的な使用を目的とした製品で、撮影やレースに使われているものと全く同じです。これにウクライナ軍は手りゅう弾などの爆薬を装着し、いわゆる“カミカゼドローン”として北朝鮮兵に突っ込ませているのです。映像が途切れたのはドローンが爆発したからで、画面の北朝鮮兵は確実に戦死したと考えられます」

 ドローンレースを動画でご覧になった方はお分かりだろうが、ドローンは高速移動が可能だ。機体や試合会場などの条件で最高速度は異なるとはいえ、時速100キロを超えることは珍しくなく、150キロや300キロが記録された大会もあるという。

銃を振り回す北朝鮮兵

「北朝鮮兵はドローンの攻撃には手を焼いているようで、1人が囮になる戦術も確認されています。ところが動画をチェックすると、囮役が丸腰のものも目立つのです。これは囮役に銃を持たせるとドローン目がけて乱射してしまい、周囲の味方に流れ弾が当たる危険性があるからでしょう。いずれにしても囮役の兵士は戦死する可能性が極めて高く、非人道的な戦術であることは言うまでもありません」(同・軍事ジャーナリスト)

 特殊作戦軍が公開した動画で、ある北朝鮮兵はドローンから逃げるため雪原を走り回った。ところが足がもつれて転倒。ドローンが急接近すると、北朝鮮兵は最後に銃を振り回してドローンをたたき落とそうとする。

 しかし銃をバットのように使っても、ドローンを“撃墜”できるはずもない。次の瞬間に映像は途切れる。北朝鮮兵が戦死したのは明白であり、視聴者に衝撃が走る。

 これほど本格的にドローンが投入された戦争は、もちろんウクライナ戦争が初めてだ。2022年2月、ロシア軍の侵攻で戦争は幕を開けた。それから現在に至るまでの3年間で、兵器としてのドローンは急激な進化を遂げた。

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