「習近平」側近が続々「汚職失脚」の衝撃 人民解放軍が目指す「台湾侵攻」にも影響か

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 2年後までに台湾侵攻を目指すとの観測も出ている中国人民解放軍。しかし、この2年間で、前国防相ら20人以上の最高幹部が汚職などの「腐敗容疑」で取り調べを受けている。これと並行して、軍需産業関連企業の最高幹部も軒並み汚職容疑で逮捕されるなど、軍と企業の癒着の実態が明らかになりつつある。習近平国家主席はこれまで12年以上も「反腐敗闘争」を続けているが、最近では側近中の側近といわれる軍最高幹部も失脚するなど、威信低下につながりかねず、権力基盤の崩壊が囁かれている。
【相馬勝/ジャーナリスト】

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 中国共産党内で汚職を取り締まる党中央規律委員会は12日、中国兵器装備集団の劉衛東・副総経理(副社長)に対し、「重大な規律違反の疑い」で捜査を開始したと発表した。同集団は中国軍の車両全般を扱い、軍用特殊車両は中国の全ての武装部隊の装備として運用されている。年間の総生産台数は260万台以上と、軍民が結合した特大軍事工業グループであり、中国全体の軍事企業のなかでもトップ10のひとつ。

 同集団トップの徐賢平・会長は党中央規律委のメンバーだが、1月上旬に開催された同委の重要会議に出席しておらず、いまだに消息不明。すでに身柄を拘束されたとの観測も出ているだけに、劉氏に関する捜査開始は同集団の大規模腐敗案件に関係していると考えられる。

消息不明の最高幹部

 同社だけではなく、やはり軍需産業関連企業トップテンに入っている中国最大の国有兵器製造企業・中国北方工業集団や、核兵器を中心に製造している中国核工業集団、主に最新鋭戦闘機を製造する中国航空工業集団も、党中央規律委員会の取り調べを受けているとの情報が流れている。

 さらには、軍事衛星などに関連して、主にミサイルやロケットを製造している中国航天科学技術集団や中国航天科学工業集団の最高幹部らも消息不明で、同様に取り調べを受けているとの情報が流れている。

実刑判決を受けた幹部も

 また、既に起訴されている企業幹部もいる。裁判が終わり服役しているのは、航空母艦の開発プログラムを監督する中国国家造船集団の元会長だった胡文明氏だ。胡氏は腐敗容疑で取り調べを受けた3年後の2023年12月、懲役13年の実刑判決を宣告されている。また、コンピュータ関連のハイテク軍事装備兵器を製造する中国電子技術集団の賀文仲・副総経理も既に逮捕・起訴され、公判中だ。

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