民放5社にオンラインカジノCMを流した「責任」を聞いた 「大変遺憾に思います」と反省を述べた局と「たった3行」の回答で済ませた局との違い
ワイドショーでオンラインカジノ問題を取り上げながらもCMを流していたテレ朝
だが、この回答についてテレビ朝日元法務部長で弁護士の西脇亨輔氏はこう疑問を呈す。
「CMの内容についてはきちんと審査したと答えていますが、CMを出す会社の『業態審査』をきちんとしていたかはっきりしません。公共の電波を使って企業広告を流す以上、その企業が犯罪や反社会的勢力と関係ないかなどの『身体検査』に当たる審査も必須。表面上は無料ゲームのCMでも、ネットカジノの会社が流すなら本当の目的は我が国では違法なギャンブルへの誘引にあると見抜いてCMを弾くべきだったのに、そうした十分な審査ができていなかったのではないでしょうか」
またテレ東とテレ朝が回答した放送時期について、前出の広告代理店関係者はこう指摘する。
「テレ東は2020年頃から2023年にかけて、テレ朝は2022年9月から2023年4月までとしていますが、オンラインカジノが社会で大きな問題として取り扱われるようになったのは2022年春、山口県阿武町で誤送金騒動が起きてからです。あの時、町が間違えて送金してしまった給付金4630万円を一人の若者が2週間足らずでほぼ全額オンラインカジノで消費してしまい、社会は大騒ぎになった。特にテレ朝は誤送金事件をワイドショーで連日大きく扱い、オンラインカジノの怖さについても取り上げていた。その後、オンラインカジノ側の片棒を担ぐようなCMを流していたわけですから脇が甘いと言わざるを得ません」
とはいえ、ちゃんと回答してきただけ両社は誠実な方である。TBSから届いた回答はたった「3行」だった。
〈地上波ではオンラインカジノ運営企業のCMを放送したことはありません。ネット広告では取り扱ったことがあります〉(経営サポート局広報室)
注目すべきは〈地上波では〉と断りながら、BSについて一切言及がないところだ。
意外にもフジは「取り扱いなし」
実際には、2月26日に行われた社長定例会見で伊佐野英樹社長はBS-TBSで2021年から2023年まで放送していたと認めた上でこう語っている。
「放送したCMは無料版のゲームのCMで、もちろん違法な有料のオンラインカジノのCMは放送しておりません。放送した無料版のCMには有料版と異なるとか、二十歳以上推奨とか注意喚起が表示されるようにして、有料版に直接誘導するものではなかったというふうに認識しています」(スポニチアネックスの報道より引用)
TBSは地上波で取り扱っていなければ“セーフ”とでも言いたかったのだろうか。
上記3社がオンラインカジノ業者のCM取り扱いを認める一方、フジテレビは〈弊社ではオンラインカジノを運営する企業のCMを扱ったことはございません〉(企業広報部)と回答した。現在、フジは中居正広の女性トラブル対応で社内コンプライアンスの脆弱性が指摘されているが、CM考査についてはしっかりしていたようである。
日本テレビからは回答はなかった。
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