「ギャラは全額寄付」でも「おばあちゃんを食い物に」…「きんさん・ぎんさん」ブームの裏側

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 2月28日は、「きんさん・ぎんさん」の妹として親しまれた蟹江ぎんさん(享年108)の命日である。死去したのは24年前の2001年。107歳で没した姉・成田きんさんの死から1年ほど経った後のことだった。

 100歳となった年、名古屋市から長寿祝いを送られた際、市長に「あんたもしっかりやりゃあよ」と述べた姿がテレビに映されて話題となり、CMに出演することに。すると全国的な“アイドル”となり、以後10年ほどはテレビ、ラジオ出演、CDデビューと大忙しの日々を送った2人。しかし、それだけの“仕事”をこなしたにもかかわらず、遺したお金は驚くほど少なかったという……。なぜか。

 ぎんさんの死後、「週刊新潮」2001年3月15日号では、遺族に2人の生前の姿を取材している。以下、それを再録し、改めて「きんさん・ぎんさん」の生き様を振り返ってみよう。
(「週刊新潮」2001年3月15日号の再録です。文中の年齢、役職、年代等の表記は当時のものです)

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 さる2月28日、“双子の百歳姉妹”として有名だった蟹江ぎんさんが逝った。108歳だった。故人が、昨年亡くなった姉の成田きんさんと共に、老躯を押してテレビやイベントに駆り出されていた頃の姿を思い出すと……いや、ご苦労様でしたと心から悼むばかりだ。

「きんは百歳、ぎんも百歳」の掛け声と共に、双子の長寿姉妹がテレビCMに登場した時の驚きは新鮮だった。

「百歳なのに元気があって、笑顔がいい。きん、ぎんという名前も覚えやすかったし、名古屋弁にも愛嬌があった」

 と言うのは地元記者の一人だが、おかげで、たちまちの内に“国民的アイドル”となってしまったのが成田きんさん、蟹江ぎんさん姉妹だった。

「二人が名古屋市郊外の農家に生まれたのは明治25年。それから大正、昭和、平成と4代を生き抜くのですが……それまでの姉妹の暮らし振りはむしろ、平凡なものでした」

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