「大阪・関西万博」で高まる“若きプリンセス方”への期待 「愛子さま」「佳子さま」「承子さま」が継承される“万博を通じた皇室外交”の伝統

国内 社会

  • ブックマーク

明治時代に皇族派遣

 平成に入り、1990年に大阪で開かれた「花の万博」では、皇太子となられた天皇陛下が名誉総裁にご就任。現在、日本ばら会の名誉総裁をされている寛仁親王妃信子さまも花博を心待ちにされていたといい、ご夫婦で「ゴルフ」パビリオンの始球式に臨まれている。

 同じく今上天皇が名誉総裁を務められた2005年の「愛・地球博」には、病気療養中の雅子皇后が1年8カ月ぶりの地方公務で皇太子夫妻として参列。“お留守番”だった愛子さまに天皇陛下が「愛知県に行ってくるね」と話すと、愛子さまは当時ファンだった愛知出身の大相撲・琴光喜関を話題にして「琴光喜のところ?」と返された。またイベントの中でも入場希望者が殺到した人気公演「蝶々夫人」は、高円宮妃久子さまも観賞されている。

 1851年の英「ロンドン万博」でスタートを切った万国博覧会。皇室との関係は1904年の米「セントルイス万博」に始まる。日露戦争の最中に開かれた同万博には、明治天皇の代理として伏見宮貞愛親王が派遣され、日本の近代化と戦争での正当性をアピールし、ルーズベルト大統領と面会を果たした。

 時期は日清戦争勝利の9年後で、1902年には日英同盟を締結したばかり。現地では日本庭園に金閣寺を模したパビリオンが好評を博した。これを起点に万博を舞台にした皇室外交の歴史が花開いていく。第二次世界大戦で中断した万博は、1958(昭和33)年にベルギーで開催された「ブリュッセル万博」で復活。この場に昭和天皇の代理として高松宮が派遣され、皇室外交を展開して日本が敗戦から立ち上がり、国際舞台へ復帰したことを世界に印象付けた。

期待が集まる若きプリンセス

 また高松宮は、1967年のカナダ「モントリオール万博」では正式な「名代」として皇室外交を展開。ここでもベルギー王室との交友関係を深め、信頼関係を築き上げた。その結果、1970年の「大阪万博」を経て、71年の昭和天皇と香淳皇后の初外遊を実現させる。

 最大の功労者は高松宮妃喜久子さまだ。「大阪万博」ではベルギー国王・ボードワン1世の弟・アルベール王子が来日。喜久子さまはこの時、「国王からの招待状を昭和天皇に送ってほしい」と持ちかけた。実は1964(昭和39)年にボードワン1世が来日していたことから、その答礼名目なら大義名分が立つと、機転を利かせた提案だった。招待の親書が届くと外務省と宮内庁は水面下で協議を進め、昭和天皇がベルギーと英、西独(当時)の3カ国を公式訪問して、オランダとデンマーク、米、仏、スイスに寄ることが決まったのだ。

 敗戦後の苦難に満ちた復興と、その後の高度経済成長を達成して国際舞台に舞い戻った日本の“背中”を強力にプッシュした万博。今回の開催で、再び日本の存在感を世界に示すため、大いに寄与するとみられているのが、次代を担う若い世代による皇室外交である。

 こども家庭庁が若者の意識調査の対象としている15歳から39歳までの年代には愛子さま、佳子さま、秋篠宮皇嗣家の長男・悠仁さま、高円宮家の長女・承子さまの4人の皇族方がいる。このうち4月から大学に通われる悠仁さまは学業が優先だ。そのため万博を舞台にした新時代の皇室外交を担うのは、愛子さまら3人の華やかなプリンセス方となる。3人とも最近、「国際感覚を一層研ぎ澄ましておられるご様子」(同OB)で、平和外交のご公務では大いに活躍されるとみられている。

 昨年、社会人となった愛子さまは今年の元日、宮殿で新年祝賀に臨み、世界各国の大使らから挨拶を受けられている。そのたたずまいは「さすがは天皇家のご長女」と古株の宮内庁幹部らもうならせた。

 昨年には、ケニアの大統領夫妻と面会し、現地で広く使われているスワヒリ語でのご挨拶に挑戦。また今年は外国への公式訪問デビューも噂される。一方、佳子さまは昨年、ギリシャを公式訪問したほか、秋篠宮邸でルクセンブルクのギヨーム皇太子と夕食を共にされている。中南米対日理解促進交流プログラムで来日したブラジルの議員団とも宮邸で面会されている。

 さらに承子さまは、大学生の時に英国留学をご経験。その後、国境を越えてあらゆる分野で活躍できる人材の育成を目指す早稲田大学国際教養学部を卒業された。2月15日には世界の若者が日本に集まり、法律を厳格に守る法治国家の文化を世界中に浸透させることを目的とした国際会議「法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム」にご臨席され、国立京都国際会館の壇上に立ちお言葉を述べている。会議には35カ国から実に79人もが参加したといい、ワールドワイドな意見交換の場に立ち会ったことで、

「多国間連帯の重要性に対するご認識を、ブラッシュアップされる機会となったようです」(同OB)

 前出の宮内庁関係者は「ご勤務先の日本ユニセフ協会とは関係のないご公務でしたが、国際貢献を常に念頭に置かれている承子さまらしいご活動と言えます」と話す。万博開幕のカウントダウンが始まる中、次世代の皇室外交に対する期待感は高まるばかりと言えそうだ。

朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。主に紙媒体でロイヤルファミリーの記事などを執筆する。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。