入社10年目で年収2000万円の高収入…「東大生」最新の就活事情 外資コンサルが流行るワケ
深刻な官僚離れ
昨今、深刻に捉えられるのが東大生の官僚離れだ。国家公務員総合職は安定した職業だろうが、異様に長いサービス残業と激務、政治家への忖度、転職の際にキャリアパスになりづらい現状などがクローズアップされ、官僚志向が減っているという。代わりに台頭してきたのが外資系というわけだ。
前出のアドバイザーによると、経団連から政府主導に移った就職協定では、広報活動開始が大学3年次の3月1日以降、採用選考開始が同4年次の6月1日以降、正式な内定日は同10月1日以降というルールになっているが、外資コンサルはその1年前からすでに採用活動が始まるという。
東大職員がこう打ち明ける。
「大学3年の5月ごろからサマーインターンの選考が始まり、9月には内定者が出始めます。また、10月からのウィンターインターンに参加できれば年明けに内定が出るケースも。適性検査、グループディスカッション、複数回の個別面接、インターンやジョブ参加を経て、大学3年の3月にはほぼ就活を終了します。つまり国内企業の採用活動が本格化する前に外資系がごっそり東大生をかっさらっていく、というわけです。早めに内定が出るので4年生になったら自分の勉強や研究、趣味に没頭したい東大生にとってはかっこうの選択肢なのです」
ただ、しきりにもてはやされる外資系コンサルだが、東大生からはこんな声も。官僚志望だという男子学生は「国の税金をたっぷりかけた東大を卒業しておきながら、外資系に就職するのはどうかと思いますよ。国内の総合商社や金融機関など選択肢はいくらでもあるはずなのですが……」。
また、外資コンサルに勤務する新卒者に対する実業界からの評価も、必ずしも芳しいものばかりではない。国内の有名企業関係者がこう話す。
「東大生に人気が高い外資コンサルの新卒社員に、当社の問題解決プランを委託しましたが、意表を突くような名アイデアは見当たりませんでしたね。しかし、社内組織や決算、会計については詳細に調べてくるので、経営陣を喜ばせる提言はきちんと作ってくる。問題点を資料としてまとめる能力は認めますが、そもそも社会経験が少ない社員がいきなりコンサルです、といって来られても100%信用はできませんよ」
外資コンサルも華やかな世界とばかりは限らない。国内企業の離職率は14%ほどであるのに対し外資コンサルは20%に及ぶ、という統計もある。
「外資コンサルを志望する学生はもともと成長志向型ですから、離職率の高さはもっと自分にふさわしい企業への転職を目指した結果という事情もあります。一方、東大生の人気就職先として楽天グループが1位になったこともありました。楽天は2010年から英語を社内公用語に決めて、今やすっかり定着しています。楽天でITキャリアと英語力を積んで、数年後に改めて外資コンサルを狙うという作戦も考えられます」(前出の大学就職課関係者)
官僚より外資コンサルへ。これも時代の流れなのか――。
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