農水省の「コメ不足」説明は「役人的なウソ」! 米価を下げる改革を阻む「農政トライアングル」とは

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詭弁を編み出した農水省

 前出の山下氏も言う。

「農水省はコメ不足を認めたくない。認めてしまうと備蓄米を放出せざるを得なくなり、放出したらせっかく史上最高水準になっている米価が下がってしまうからです」

 そこで農水省が編み出したのが、「どこかにコメがスタック(滞留)している」という詭弁(きべん)である。

「普通、何か問題があれば事実を確認してから対応策を講じます。しかし今回は確認もしていないのに、業者が買い占めている、と言っているわけです。コメが不足していることを認めず、あるかどうかも分からない問題を“ある”と言い、業者で滞留しているコメを市場に出すために備蓄米を放出する、という論理を作り上げました。もし業者が米価低下で抱えている21万トンを吐き出せば米価は暴落します」(同)

「役人的なウソ」

 しかも、農水省はコメがどこに滞留しているのかを調べようと思えば調べられるのだという。

「日本には米トレーサビリティ法というものがあり、生産者から農協、農協から卸売業者、さらにスーパーなどの小売りへと、搬出入した場所も含め全ての取引について帳簿をつけ、その記録を保存しなければならない、と定めているのです。農水省は全てのコメの流通・在庫状況が分かるのに、分からないと言っている。これは役人的なウソなのです」(山下氏)

 農水省がかたくなに「コメ不足」を認めないのはなぜなのか。認めてしまうと問題の本質に向き合わざるを得なくなるからではないのか。

「結局、さまざまな問題の根本的な原因は減反政策を維持してきたことです。本来は1000万トン作れるところを650万トンまで落としているわけですから」

 と話す山下氏に減反政策について改めて解説してもらうと、

「日本では主食用のコメ余りが起こったことで、1970年以降、コメの作付面積を制限する減反政策を実施しています。主食用米の生産から、飼料用米や麦、大豆などに転作した場合に補助金を給付し、コメの生産量を減らして、米価を市場で決まる水準より高くしてきたのです」

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