21万トンの米はどこに消えた? 備蓄米を放出しても「適正価格に落ち着くまで2年近くかかる可能性も」

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「24年産米を“先食い”した分」

 さる集荷業者も、

「転売で儲けようとしているのは一握りに過ぎません。一般の集荷業者はコメの在庫がなくなることが一番怖いので、普段10持つところを11持つ。その積み重ねです。保管場所も必要ですから、大量に抱え込むなんて普通の業者にはできません」

 として、こう指摘する。

「消えた21万トンの多くは24年産米を“先食い”した分だと思います」

 先食い? 一体どういうことか。

「令和の米騒動」でスーパーからコメが消える直前、

「昨年7月末の民間在庫量は82万トンでした」

 と、先の山下氏は言う。

「23年9月にできた新米は10月から翌年9月まで食べることになります。だから7月末というのは端境期ですが、在庫量82万トンは空前の少なさです。前年と比較して40万トンも足りていません。1カ月分の流通数量は45万トンくらいですから8月9月の流通量を賄えないレベルの在庫量だったのです。不作になると大変でした」

そこで起こったのが先食いである。

「コメが足らないので、24年産のコメで収穫されたものを先食いしたわけです。これによって今度は24年10月から25年9月までに供給される量がその分だけ減少します。その証拠に、24年11月、12月の民間在庫は前年同月と比べてそれぞれ43万トン、44万トン減っています」(同)

 後編【農水省の「コメ不足」説明は「役人的なウソ」! 米価を下げる改革を阻む「農政トライアングル」とは】では、わが国の減反政策のこれまでや、米価の低下を阻む「農政トライアングル」について報じる。

週刊新潮 2025年2月27日号掲載

特集「ようやく備蓄米21万トン放出 国民を苦しめるコメ不足『本当の元凶』」より

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