石破首相になびくか突っぱねるか「国民民主」が抱えていたジレンマ

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遠藤敬氏の水面下の活躍

 25日、自民党の石破茂首相(総裁)と、公明党の斉藤鉄夫代表、そして日本維新の会の吉村洋文代表は教育無償化と社会保険料引き下げを行って2025年度予算案の早期成立に向けた合意文書に署名した。予算案の成立が見えてきたことで、蚊帳の外に置かれた国民民主の出方がこれまで以上に注目されていた。その後、自公とは決裂する道を選んだことになるが、勝算はあるのか。

 衆院で過半数を得ていない自公与党は予算案の成立に関して野党に協力を“お願い”する必要がある。

「先の衆院選で躍進した国民民主はいわゆる『年収の壁』突破を政策に掲げて自公と折衝を繰り返してきました。一方で維新は教育無償化と社会保険料引き下げを掲げ、自公との距離を縮めてきました」

 と、政治部デスク。

「結果として自公と手を組むことになったのは維新でした。石破氏と深い付き合いをしてきた前原誠司共同代表が音頭を取って話を進めてきたわけですが、実際は遠藤敬・前国対委員長の役回りが大きいですね」(同)

不満を抱く国民民主

 遠藤氏は大阪選出の衆議院議員で現在は5期目。大阪維新の会結党以来のメンバーである。

「遠藤氏に現在肩書きはないのですが、話をまとめる調整能力がすこぶる高いことについて“無冠の帝王”などと称賛する声があります。前原氏の依頼を受けて各方面との交渉役を任じられた遠藤氏は財務省や文科省とのやり取りもうまくまとめたようで、遠藤氏が登場する前と後とでは景色があまりにも違うこともあって、遠藤氏の力量を評価する声ばかりですね」(同)

 一方、国民民主はそういった流れに不満を抱いてきたようだ。

「国民民主とやり取りを続けてきた自公が一転、維新と交渉し、予算案の成立まで固めてしまったことも面白くないということです。実は自公と国民民主との間には年収の壁に関して160万円前後のレベルで折り合いをつけようとの方向で話が進んでいた経緯がありました。が、今回の自公維の連携でそれは吹き飛んでしまいました」(同)

 結局、公明が主導したとされる「160万円案」に基づき関連法案を修正し、それに維新も賛成することになる。

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