「高市・野田」の「対石破発言」があまり相手にされない理由

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戦闘モードに入りますよ

 24日、立憲民主党は東京都内で党大会を開き、野田佳彦代表は政府与党への「戦闘モード」を鮮明にした。一方、自民党の高市早苗・前経済安全保障担当相は21日までに自身のXを更新し、「年収の壁」を巡る自民党案について言及。自民、公明、国民民主3党の税制調査会幹部が突っ走り、党内議論がなおざりにされている現状を憂うものだったが、野田、高市両氏の発言は「永田町で埋没することへの焦りの表れではないか」と見る向きも少なくない。

 まずは野田氏の発言をざっと紹介しておこう。

「いつまでも我慢していようとは思っていないんですよ。命がかかっていることをいつまでも決断しないんだったら、私は一度、武装解除すると言いましたけれど、戦闘モードに入りますよ、ここは。国会を動かすのは政党支持率ではありません。議席の数です。そこは覚悟を持って戦い取っていきたい」

焦りの裏返し

 自公と維新の3党は21日、高校授業料の無償化と社会保障改革などに関する文書に合意し、2025年度予算の今年度内の成立はほぼ確実となった。自公は国民民主と「年収の壁」問題について協議を続けているが、そういった議論から立憲は外されてきた。

「フラストレーションが野田氏のみならず立憲内部からもわき上がり、与党との対決姿勢を鮮明にしたということなのでしょう。自民党が国会に提出している政治資金規正法改正案をめぐって企業・団体献金の公開に関する透明性が著しく低いことに党大会で野田氏は“何が公開か。顔を洗って出直してきやがれ、こんちくしょう”と声を荒らげる場面もありました」

 と、政治部デスク。

「野田氏や立憲が埋没しているのは明らかで強気に見える発言は焦りの裏返しだと感じました。石破茂首相と野田氏の友好関係は誰もが知るところですが、自公は立憲を取り込みたいとは考えていません」(同)

 立憲にとって厄介なのは、この対決姿勢、国民民主とは異なり国民の支持につながっていない点だろう。

財務省解体デモの余波

「タイミング悪く、“財務省解体デモ”が話題になるなど財務省への逆風がかなり強く吹いています。野田氏は首相在任中に消費増税への道筋をつけた張本人として永田町ではこれまで“財務省そのもの”と認識されてきました。本人は否定するでしょうし、さすがに財務省そのものは言い過ぎだとしても、安倍晋三元首相とは対照的に財務省寄りのスタンスを取ってきたことは間違いありません。財務省が大きな逆風にさらされる中、野田氏への批判もかなり強い。“顔を洗って出直してきやがれ、こんちくしょう”の文言はただ時代がかっているだけで立憲支持者にさえ刺さっているのか見えてこないと評されています。いわゆる“スベッて”いる印象です」(同)

 野田氏はその後、情報番組に出演した際に「こんちくしょう、じゃなくて、本当は、すっとこどっこい、でしたね。私のほうが間違っていた」と発言を訂正した。それはともかく立憲は野党第一党だが、内閣不信任案を提出しても野党が結束しなければ奏功せず、打てる手はそう多くないとされる。

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