JFA殿堂入りの「国士舘大89歳理事長」が逝去 サッカーエリートたちの針路を変えた“功績”とは

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“大学サッカーの神様”

 学校法人国士舘の大澤英雄理事長が今月16日、亡くなった。89歳だった。

 2019年、春の叙勲で旭日中綬章を受章。23年には、日本サッカー協会の殿堂入りも果たしている。訃報に際し、川淵三郎相談役、田嶋幸三名誉会長、宮本恒靖会長が追悼文を寄せた。

 とても偉い方のようだが、どのような業績がおありなのか。

 スポーツ紙記者によると、

「サッカー歴は75年以上。指導者としても50年以上にわたりこの世界に関わった方です。山本昌邦ナショナルチームダイレクターをはじめ、解説者の宮澤ミシェル氏、柱谷幸一・哲二兄弟、ヴィッセル神戸の永井秀樹スポーツダイレクターら多くの選手や指導者を育ててきた。一言で言うと“大学サッカーの神様”です」

Iリーグから日本代表へ

“大学”というのが、素人にはピンとこないのだが、

「大きいところでは部員が200人を超えますが、試合に出られるのは十数人で、下級生はほぼ出られません。モチベーションがないので、練習をサボったり、問題行動を起こしたりなんてことも。そこで大澤さんは03年、“インディペンデンスリーグ(Iリーグ)”を創設。1校で複数チームが出場でき、下級生も実戦経験を積める場を創ったのです」

 これがサッカーエリートたちの針路を変えた。

 かつては“高校でJリーグユース、卒業後にプロ入り”が王道とされていたが、エリート高校生たちが出場機会を求めて大学に進学し始めたのだ。

「よほどの逸材でない限り、プロ入り即レギュラーなんて無理ですから。プロの誘いを蹴って大学に進む選手も珍しくありません」

 かくしてIリーグを経てプロ入りしたのが、日本代表の長友佑都(明治大)であり、三笘薫(筑波大)である。

「今や大学は“プロへの登竜門”。1部リーグの大学なら、毎年少なくとも5人、多いとレギュラー全員がプロになることもあります」

 大澤氏は、日本代表の底上げにも貢献したわけだ。

 ご冥福をお祈りする。

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