出会いは小学生の囲碁大会 「イラッとした」初対局から20年弱、二人が夫婦になった理由

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意外な定番デートスポット

 知らず知らずのうちに距離は縮まっていった。

 17年10月、朝と午後に仕事が入っていた力さん。合間のランチに里菜さんを誘い、「付き合っていただけませんか」。普通のランチと思っていた里菜さんはびっくりするも「はい」。

 互いに囲碁の研究で多忙な中、定番のデートスポットは富士急ハイランド。囲碁では沈思黙考するのが常の二人がジェットコースターで絶叫。「帰りには喉が痛いほどだけど、それも含めて楽しくて」と力さん。

「結婚願望はなかった」

 交際開始から6年が過ぎる頃、力さんの周りでは結婚する人が多くなった。里菜さんは「結婚願望はなかったけれど、付き合ってきた期間は長いなあ」と思い、交際を知る棋士仲間たちに「いつ結婚するの?」と聞かれることも増えていた。

 昨年1月、力さんは「自分の誕生日は“いい夫婦の日”(11月22日)だし、せっかくだから(入籍は)その日にしようか」と提案。実は里菜さんの母がその3年ほど前から、毎年11月22日が近づくと「プロポーズがあるんじゃないかしら」とソワソワしていたという。

入籍から9日後に夫婦対決

 その話を里菜さんから聞いていたせいもあり、この日を選んだ。指輪も花束もないプロポーズだったが、天のいたずらか、入籍から9日後、広島アルミ杯・若鯉戦のトーナメント準決勝で、二人は対戦。交際後は未対戦だったが、入籍発表前の夫婦対決は力さんが勝利し、さらに勝ち進み優勝した。 

 里菜さんは「相手が家族なので、家族に勝ってほしいという雑念も出ちゃったかな」と思い返す。

 12月にはマカオへ新婚旅行。パリジャン・マカオで観光を楽しみ、点心に舌鼓を打った。棋士としてだけでなく、囲碁番組の解説役としても全国を回ることの多い力さんは「各地のお世話になっている方に二人であいさつして回りたい」と話す。

 ともに運転免許を持っておらず、移動の足は主に公共交通機関。夫婦棋士の行脚が各地で見られそうだ。

週刊新潮 2025年2月27日号掲載

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