“やたら威勢がいい”“何かと顔合わせしたがる”だけじゃない…「下請け」が本気で頭を抱える発注元の意外な要件とは
結束の固い3人組
筆者(中川淳一郎)は仕事人人生が今年で29年になるが、「これはヤバい仕事かもしれない」という勘が働くことがある。「地雷案件」とでも呼んで良いかもしれない。そうした案件にはたいてい以下5つの要素のどれかが必ず入っている。納得できる方も多いのではなかろうか。
【写真】「地雷案件」を機敏に察知する仕事人人生29年の中川氏が心を許す“同業者”
【1】やたらと威勢がよく「ドーンと大きなことやりましょう!」と言う人がいて、パワーポイントのプレゼンが勇壮かつ夢に溢れている。
【2】自分の上に中間ピンハネ業者が3社以上入っている。
【3】出会って最初の一言が「予算が少ないのですが……」。
【4】出てきたのがガングロ・ヒゲ・Yシャツを第二ボタンまで開けている男。サスペンダーを着け、握手をしてくるとさらにヤバい。
【5】「打ち合わせにあたり、それに先立って『顔合わせ』をさせていただきたいのですが」と言う形式主義者。
これらは本当に分かりやすい地雷案件なのだが、これ以外に、地味ながらも私が確信している地雷フラグがある。それは「結束の固い3人組からオファーされた仕事」だ。これは会社員時代、フリーランス時代を問わず同じである。なぜ、この条件だと地雷になるのかを述べる。
異論は許さん
これまでの経験上、相手が2人だったら反論も含めなんとか対峙できるが、3人だと自分がやりやすいように仕事を進めることがかなり難しくなる。この「プラス1名」の差がデカいのだ。相手が2人だと過ちに気付いたり、より合理的な進め方をするにあたっても、考え方を変えやすい。しかし、3人だと体面の重視と忖度が増幅し、過ちを正当化するようになるのだ。しかも2人の時よりも強固に。3人の組み合わせは「相手企業の上司」「その部下」「この上司と長年仕事を一緒に続けている同社の外注先社員」であることが多い。
この場合「上司」が3人の中で親分となり、他の2人を意のままに操るようになる。部下としては上司には逆らえないし、外注先社員としても得意先に楯突くわけにはいかない。だからこそ親分の意図に従う鉄の結束が生まれ、異論を許さなくなるのである。
3人が私に仕事を発注してきた理由は、単にこの3人が忙しいか、面倒な仕事を誰かに丸投げしたいからである。フリーランスになってから特に顕著だが、「仕事を出してあげてるんだからこちらの意図通りにするんだぞ。異論は許さん」的な対応を取られることは時々あった。
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