韓流ドラマをほうふつさせるセクシーなシーンも 金正恩肝いりの戦争映画「72時間」を読み解く

国際 韓国・北朝鮮

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新年早々、テレビで放映した理由

 そう考えれば、映画「72時間」を新年早々、テレビで放映した理由に合点がいく。アメリカでは歴史的首脳会談までしたトランプが返り咲き、韓国の政情は混沌(こんとん)としたまま。映画のラストメッセージはこうだ。

〈奇跡の3日間が血のにじむ3年へ続いた刻苦壮絶な戦争史は今日もわれわれに党と首領の領導に絶対忠誠、絶対服従し、主体の軍事思想とわれわれ式の戦法で戦うことが戦争勝利の生命であり、根本担保であるという貴重な真理を教えている。われわれ新しい世代は祖国解放戦争の峻厳な歴史を永遠に忘れないだろう〉

 不気味な映画である。

鈴木琢磨(すずきたくま)
ジャーナリスト。1959年、滋賀県生まれ。大阪外国語大学朝鮮語学科卒。毎日新聞客員編集委員。最新刊に共著『北朝鮮を解剖する』(慶應義塾大学出版会)がある。

週刊新潮 2025年2月20日号掲載

特別読物「韓流ドラマを彷彿させるシーンに仰天 金正恩肝いりの戦争映画『72時間』を読み解く」より

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