サンリオの人気キャラ「クロミ」を巡って裁判が勃発…異色キャラの“生みの親”は誰なのか?
クロミはアニメをきっかけに生まれた
クロミや、クロミの子分にあたるバクなど、「おねがいマイメロディ」のアニメでキャラクターデザインを務めたのは、スタジオコメットに所属するアニメーターの宮川知子氏である。放送されたアニメに、同氏の名前がしっかりクレジットされていることからもわかる。さらに、クロミという名前もアニメの関係者が命名したと、当時の制作関係者A氏が話す。
「当初は“ワルミ”とか、“ウラミ”という名前の案もあり、私も2~3個ほど案を出しましたよ。そのなかから、『クロミでいいじゃん!』と言ったのは監督の森脇真琴さんです。私はその発言を聞いているので、間違いありません」
A氏が、当時の現場を振り返りながらこう続ける。
「30分のテレビアニメを制作にするにあたり、私は、『ドラえもん』のような形で、日本の現実の世界にマイメロディがやってきて、トラブルを解決する物語を軸に進めてはどうかと提案しました。森脇さんとは何度も議論を重ねましたよ。そのなかで、マイメロディにライバルがいたほうがいいのではと考案したのが、クロミでした」
世界観はアニメスタッフが作った
A氏によると、会議が行われたのは2004年12月だったという。アニメの放送を翌4月に控え、「スケジュールがきゅうきゅうだった」ため、現場主導でどんどんキャラの設定やストーリーを作っていったそうだ。「ウィーヴが当社とサンリオの情報伝達を行っていましたが、制作現場にサンリオ側の方は出てきていません」と、茂垣氏も言う。
「サンリオが持っていたのはマイメロディのキャラクターだけで、当時は世界観も設定もありませんでした。そうした状態からマイメロディの世界観を作り上げたのは我々だと自負しています。アニメは低年齢層に大人気となり、ストーリーが進むうちにクロミは結構いいキャラだということで、だんだん存在感が増してきたと記憶しています」
クロミに注目が集まるようになると、マイメロディとクロミが一緒に描かれたグッズが発売されるようになった。そして、いつの間にかクロミ単体のグッズも出回るようになってきたという。
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