「新入社員」も「バブル入社組」も“給与増”なのに「氷河期世代」だけがワリを喰う残酷な現実…高齢者になっても報われない“悪夢の世代間格差”とは

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《恩恵の外》という辛い現実

 井上氏は「氷河期世代が冷遇され続けてきたことは事実ですが、一部の氷河期正社員は猛省が必要だと指摘せざるを得ません」と言う。

「氷河期世代で正社員になった人々のうち、一部は自分に甘かったはずです。厳しい就職活動を勝ち抜いてきましたから、企業側も『優秀に違いない』と思い込んでしまいました。ITスキルの足りない40代と50代の正社員はその象徴です。ならば20代の社員は厚遇に値するだけのITスキルを全員が持っているかというと、もちろんそんなことはありません。スマホしか使えず、キーボードには触ったことすらないという新入社員も珍しくないのです」(同・井上氏)

 どの世代にも一定数、“仕事ができない社員”は存在するということなのかもしれない。だが20代には自動的に高給が支払われ、40代と50代だと最悪の場合は退職勧奨というのでは、やはり納得がいかないという人も多いのではないだろうか。

「現状に最も憤りを覚えるのは、氷河期世代のうち非正規を強要された人々ではないでしょうか。彼らは産まれた時代さえ違えば、何の問題もなく正社員として採用された可能性があります。幸運にも正社員になれたにもかかわらず、自分を甘やかしてきた一部の氷河期世代の人々を見ると、『自分が社員だったら、もっと真面目に働いたはずだ』と腹が立つに違いありません」(同・井上氏)

 熊野氏は先のレポートで《初任給の引き上げや春闘の賃上げは大々的に喧伝されるが、そうした裏側では、恩恵の外にいる雇用者も少なくない》と記した。氷河期世代が《恩恵の外》に置かれているのは言うまでもない。

デイリー新潮編集部

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