「有事の金」価格が急騰しているワケ 基軸通貨ドルの行方は? トランプ大統領が水面下で進める“秘策”

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時価で再評価も

 歴代米大統領の借金膨張政策とバイデン政権末期のダメ押しのバラマキの結果、安全資産である金が暴騰。正確に言い換えると、金が値上がりしたのではなく、米ドルや日本円の価値が低下してきた、と言える。

「大増刷を繰り返してきた米ドルの価値低下に対する懸念が高まる中、トランプ大統領は米国の金準備金を精査しています。米国は約8133トンの金を保有しているとされ、世界最大の保有量を誇ります。一部アナリストからは、トランプ大統領が金を時価で再評価し金価格を50倍以上にして、ドルを安定させる可能性があるとの予測も出ています。一方、日本の金準備金は米国の10分の1にあたる845トンしかありません」(前出の経済記者)

 そんな中、アナリストの間で出回っている不穏な噂がある。予測不可能なトランプ政権が借金を減らすため第2のプラザ合意を決断する、というものだ。プラザ合意とは、1985年に先進5カ国財務大臣・中央銀行総裁がニューヨーク市のプラザホテルに集まり、主に米国の対日貿易赤字と日本の対米貿易黒字の削減のため、各国が協調介入してドル高の是正を決めた会議のことだ。

「プラザ合意により円相場は1ドル235円から翌年には150円まで円高が進行。円高不況対策として日銀は低金利政策を実行に移し結果、バブル経済の起点となったのです。日本が所有する米国債は1兆2000億ドルと世界1位。仮に米国がプラザ合意のような円高ドル安政策を押し付けてきた場合、日本経済は壊滅的な打撃を受けるでしょう」(同)

 円高になれば金はその分、安値で買えそうだが、世界の経済システムに不安が広がるようなら“有事の金”は買いが殺到する可能性が高い。

「金の先行きについては強気の見方が優勢です。金の延べ棒など現物は、保管が大変ですから、金の価格と連動する上場型投資信託であるETFへの投資が考えられます。株式と同じように自宅のパソコンやスマホで売買できるので、投資家の間で人気となっています」(証券会社関係者)

 金の延べ棒は無理でもせめて金の指輪やネックレス、金歯などはタンスにしまって大切に保管しておくのが万が一の備えになりそうだ。

デイリー新潮編集部

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