観光閑散期「冬の沖縄」に変化の兆し 「プロ野球キャンプ」に続く期待のキラーコンテンツとは
7月オープン施設への期待 地域経済への効果は
そんな冬の閑散期の沖縄観光で新たに期待されているのが、2025年7月25日にオープン予定の「ジャングリア沖縄」だ。美ら海水族館から30分ほどの場所に位置し、世界自然遺産「やんばる」の近くに広がる「Power Vacance!!(パワーバカンス)」をコンセプトとしたテーマパークとなる。広大な敷地には22のアトラクションが設置される予定だ。
那覇空港や街中からはレンタカーで約2時間かかるため、近くの美ら海水族館とセットで2日間をこのエリアに滞在する人が多くなりそうだ。その結果、美ら海水族館周辺のホテルに宿泊する観光客が増え、地域経済への波及効果も期待される。裏を返せば観光客にとっては「目的を持って訪れる場所」になりやすく、アクセス面が課題となるリスクもある。
地元の人は遊びに行くのだろうか?那覇・名護・北谷で地元の人5名に意見を聞いてみたが、「まだ全容が見えないため興味が湧かない」といった声が多かった。沖縄の人は混雑や渋滞を嫌うそうだ。「楽しみ、空いてから絶対行きたい」という人は1名いた。そうはいっても、オープン後にはSNSやテレビで話題になり、一時的にはまずブームが起こる可能性は高い。時期的に大阪・関西万博とガチンコ勝負となりそうだ。
仏ディズニーの苦戦に見る“ライバル”の存在
ジャングリア沖縄では、国内在住者と訪日外国人で二重価格設定を導入している。国内在住者の入場料は大人6,930円、子供4,950円、訪日外国人は大人8,800円、子供5,940円。日本国内の観光客だけでなく、アジア圏を中心とする訪日外国人旅行客の取り込みが、成功の鍵を握ると考えられる。
筆者は現地へレンタカーで向かったが、当然ながらジャングリア沖縄までの誘導看板はまだなく、山道のようなルートを進むことになり、少し不安を感じた。カーナビを頼りに無事到着したが、建設予定地を覗くと、素人目にはほとんど工事が進んでいないように見えた。おそらく間に合うのだろうが、全国的に大阪万博やTSMC熊本工場の建設ラッシュで、工事関係者の確保が難しくなっている状況もある。現場の作業員に聞くと「部分開業の可能性がある」という話も出ているようだ。あくまで噂話だが……。
ジャングリア沖縄の建設予定地を見た後、美ら海水族館からさらに北へ1時間ほど進み、世界遺産のヤンバル国定公園・辺戸岬に行ってみた。車窓からはヤンバルクイナが道路を横切る姿が見え、岬ではクジラの潮吹きも確認できた。ドローンで撮影していた人によると、1・3km先に親子のクジラが滞在しているとのこと。透明度の高い美しい海、本物の自然に囲まれた沖縄の魅力を改めて実感することができた。
フランスのディズニーランドは、フランス人が長期休暇を楽しむ傾向があるため短期滞在型の施設に足を運ぶ人が少なく、さらに周囲には本物の壮大な城や歴史的な街並みがあるため、回復傾向ではあるものの経営的に苦戦を強いられている。同様に、沖縄もリゾート地であり、ジャングリア沖縄が「本物の自然」に勝るテーマパーク体験を提供できるかが、今後の成功の鍵となりそうだ。
ちなみに筆者自身はオープンを楽しみにしている。お金を貯めて何とか訪れたい。
[2/2ページ]