エリザベス女王の夫「フィリップ殿下」の「大喪の礼」参列はなぜ物議を醸したのか…戦争の傷跡を超えて紡がれ続ける皇室と英国王室の絆
皇太子時代から4回来日しているチャールズ国王
皇室と英国王室の交流は明治以降から盛んになり、もちろん弔事だけではなかった。第二次世界大戦の終結時は敵国同士となったが、英国側は終戦後の1953年6月、エリザベス女王の戴冠式に明仁皇太子(現在の上皇さま)を招待するなど、日英関係の復活につながる機会をつくった。
60年代もチャールズ皇太子(当時)を含むロイヤルファミリーの来日が続き、1975年にはエリザベス女王夫妻の国賓来日が実現する。チャールズ皇太子とダイアナ妃が1986年に公賓来日した際は、日本で「ダイアナブーム」が起こった。近年はウィリアム王子(当時)が2015年に来日し、東日本大震災の被災地を訪問。2019年にはチャールズ皇太子が4度目の来日を果たし、天皇陛下の即位の礼に出席している。
歴代天皇皇后の英国訪問は、1971年(昭和天皇)と1998年(現在の上皇さま)、そして2024年の3回。2024年の訪問では、両陛下が学んだオックスフォード大学での学位授与式や植樹、エリザベス女王とフィリップ殿下が眠るウィンザー城での献花も日程に組み込まれた。
戦争の傷跡は確かに存在したが、それを癒す努力は続けられた。そして時は流れ、相互理解が深まり、状況は変わっていった。皇室と英国王室が紡ぎ続ける絆はいまもなお示唆に富んでいる。
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