「孤独のグルメ」が韓国の食文化を変えた!? 日本食ブームで「とんかつ店」が急増中

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劇場版が大ヒット中

 俳優の松重豊(62)が主演を務める「劇映画 孤独のグルメ」が1月29日の公開以来、観客動員63万人、興収9億円を突破する大ヒットを記録している。シーズン10まで続くテレビ東京系のドラマシリーズを映画化した本作は、松重演じる主人公の輸入雑貨商・井之頭五郎が食をめぐって世界各地を訪れる波乱の展開。松重自身が初めて監督と脚本を担当するなど相当力が入っていた。

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「劇場版ではシーズン7で行った韓国ロケが再度行われています。Netflixの大ヒット韓国ドラマ『梨泰院クラス』でチャン会長を演じた俳優ユ・ジェミョンが、入国審査官役で出演。松重が美味しそうに干しタラのスープを食べるシーンに登場しました。杏、内田有紀、オダギリジョーら豪華共演陣が、食材やスープの秘伝の味をめぐって大冒険を繰り広げています。スケールの大きな独特な物語になっていて、ドラマシリーズとの違いに驚きました」(映画ライター)

「孤独のグルメ」と言えば当初、企画がフジテレビに持ち込まれた。だが、その面白さが理解できず手放してしまったという逸話が、フジ凋落の文脈でしきりに取りざたされている。放送ライターがこう指摘する。

「ドラマを企画した共同テレビが、まずはグループ会社であるフジテレビへ持ち込んだんです。しかし、当時の制作幹部に一蹴され、仕方なくテレビ東京へ持ち込んで2012年から深夜帯でスタートしました。五郎が空腹を満たす際の心の独白が面白く、たちまち人気ドラマとなりました。孤独に見える“ぼっち飯”をポジティブに考える五郎のチャレンジ精神が、大いに視聴者の共感を呼んだのです。同時に時代を読めないフジ制作陣のセンスのなさが浮き彫りになってしまいました」

 そんな「孤独のグルメ」は韓国でも放送されて人気を博し、シーズン7では「韓国出張編」と題して現地ロケを敢行。それもあって「Seoul Drama Award 2018」で「The Most Popular Foreign Drama of the Year(最も人気がある海外ドラマ)」を受賞したほどだ。韓国で放送される際、日本語メニューが韓国語で表示されるよう画像処理されているので韓国の視聴者に受け入れられやすかったことも背景にあるという。

「『孤独のグルメ』は韓国の食文化や外食産業に顕著な影響を与えています。主人公の井之頭五郎が1人で食事を楽しむ姿は、韓国の視聴者に新鮮な印象を与えました。韓国では伝統的に食事は皆で楽しむものという文化が根強く、1人での食事は“寂しい人”というネガティブなイメージがあったんです。しかし、『孤独のグルメ』の影響で“ぼっち飯”を楽しむことへの抵抗感が薄れ、“ホンパブ”(1人ご飯)という言葉が生まれたほどですよ」(現地の食文化に詳しいジャーナリスト)

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