「夫婦は中国政府のスパイといううわさが」 コロナ給付金詐欺で逮捕の中国人元外交官 日本が「スパイの巣窟」と呼ばれる理由とは

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「商いが大きくなれば政府と距離が近くなる」

 3年前に週刊新潮は、この“秘密拠点”を詳報している。件のビルの住所に登記された団体の幹部である中国人女性が、自民党参院議員・松下新平氏の“外交顧問兼外交秘書”として雇われていた。彼女は、議員会館の通行証を付与されており、官僚のレクチャーなどを通じて政府の機密情報に触れていた可能性もある。これらは中国政府の諜報活動の一環だったのではという疑惑だ。

 高口氏によれば、

「中国による諜報活動の特徴は、単にスパイを本国から送り込むのではなく、現地の華僑を協力者にして、政財界に“浸透工作”を図ることにあります。元外交官である徐容疑者は、大使館とのパイプをビジネスに活用していました。大使館からいろいろとお願いをされ、気付いたら中国政府の協力者となっていても不思議ではありません。中国は日本と比べ物にならないほどのコネ社会ですから、人脈を広げ権力と多くつながれば商売もうまくいく。商いが大きくなれば政府と距離が近くなる。ただ、その距離を程々にしないとマズいというのが、中国における商いの常識なのです」

「日本は“スパイの巣窟”」

 世界各国のスパイ事情を研究する国際ジャーナリストの山田敏弘氏は、こう指摘する。

「日本の公安警察は、以前から徐容疑者の店をマークしていましたが、日米のトップが代わったタイミングで摘発した点に注目すべきです。元々アメリカから見れば、諜報活動を取り締まる法律のない日本は“スパイの巣窟”。諜報活動の温床が日本にはあることを、“親中”と目される石破政権に対し警察当局が警告する意味で、今回の摘発が行われたのではないでしょうか」

 今後、公安部は押収資料から工作活動の実態や金の流れを追う。果たして中国を利する“国賊”はあぶり出されるのか。永田町のセンセイ方も、のんきに高級中華に舌鼓を打っている場合ではないのだ。

前編【「妻はチャイナドレスの似合う超絶美女」 コロナ給付金詐欺で逮捕の中国人元外交官 捜査機関が問題視する“ウラの顔”とは】では、逮捕された中国人男性とその妻が捜査機関から問題視されている理由について報じている。

週刊新潮 2025年2月20日号掲載

特集「コロナ給付金“詐欺”で逮捕された『中国人元外交官』ウラの顔」より

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