ライフルに耐えるよう「防御盾」を徹夜で補強…「連合赤軍あさま山荘事件」に動員された警察官の「テレビに映らない戦い」
現場はあさま山荘だけではない
この事件の現場は、あさま山荘だけではなかった。
警備本部が重視したのは、他の連合赤軍メンバーの動向だった。警備本部が山荘内に立てこもっていると判断したメンバーは5人。群馬県警の山狩りで逮捕されたメンバーもいるとはいえ、十数人のメンバーがまだどこかにいるはず――完全武装の上、あさま山荘へ応援にかけつけるかもしれない。あるいは、別の場所で似たような事件を起こすかもしれない。何より、彼らは銃などで武装している可能性が高い……。
長野県警本部はじめ、県内にある25の警察署では通常業務をこなす一方、全力で軽井沢署への支援を行った。
応援要員を出した署は、残された署員で勤務をやりくりし、後方治安の任についた。署によっては次長が当直勤務につくことも。そして、連合赤軍の残党が参集することを警戒し、軽井沢署に隣接する小諸署では、小諸駅はじめ国道など5か所で完全武装の機動隊員が、2交代24時間の警戒を行った。
2月28日の強行突入・人質確保まで、発生から219時間もの長きにわたって現場となったあさま山荘以外の場所でも、長野県警は総力を挙げた対応を取った。
「人質を解放し犯人を全員逮捕するという、当初の警備方針を貫くことができたのは、警視庁はじめ、来援してくれた警察官、支援して頂いた地元の関係者のおかげです。それでも、警察官2人の殉職と21名の重軽傷者、そして民間人1人も死亡と、多くの犠牲の上に事件が解決したことは決して忘れることはない」(長野県警関係者)
凍り付いた山荘から引き揚げる警察官たち。しかし、長野県警にとって、本当の戦いはこれからだった。
【第2回「『あの連中は、山岳アジトで12人を殺している』…「あさま山荘事件」の容疑者が長野県警の取り調べに打ち明けた“総括”という言葉の衝撃」日本を震撼させた壮絶事件発覚の舞台裏に迫る】