横尾忠則が“一番好きな場所” 押し入れ、アトリエの次は「死後の世界」
子供の頃、「好きな場所」は押入れの中だった。この暗い棺桶のような狭い閉じられた秘密の場所に這入っていつの間にか眠ってしまう。恐らく親が今頃探しているだろうと思うと、何んともいえない快感が身体のあちこちから沸々と湧き出てくるようで嬉しくなったのを今でも時々想い出す。
その後、好きになった場所は新幹線の座席だった。隣に誰か来ないように願いながら、原稿用紙を拡げて、何か書くわけでもなく、ぼんやりと走り去っていく風景を眺める快感は特別のものだった。...