音楽を手掛けた“香港アクション大作”が大ヒット! 巨匠「川井憲次」が「結構キツかったですね(笑)」と語る納得の理由
矢継ぎ早に起こるから休む暇がない
この制作手順は他のアクション映画も同じだが、「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」には大きな違いがあった。目まぐるしく動く超絶アクションが連続するという怒涛の構成である。
「戦うのが1対1ではないんですよね。4対大勢だったり、あちこちで同時期に戦闘が起こったりするわけですよ。『イップ・マン』シリーズの場合って、(アクションの時に俳優が)構えるじゃないですか。そこで一瞬すっと音楽を静かにすることなどもできましたが、今回はある人が戦っている同時刻に別のところでも戦いが起こってと、パラレルです。そうすると、違う戦闘の時は違う音楽をつけなければいけない。それがずっと矢継ぎ早に起こるものですから、休む暇がないんですよ。結構キツかったですね(笑)」
川井氏を泣かせたアクションを作り上げたのは、もう1人の「ケンジ」である谷垣健治氏。90年代から香港映画界に身を投じ、日本では「るろうに剣心」シリーズなどの代表作を持つ第一線のアクション監督だ。
「ものすごく神経が細かい方なんですよ。電話で時々話すんですけど、すごく感じが良くて、あんなにすごいアクション監督なのに、1ミリも威張らないんですよね。で、もちろん付き合いは長いんですけど、常に丁寧で低姿勢。僕は尊敬してます。まあ、基本は『Wけんじ』なんですけど(笑)」
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という川井氏も、谷垣氏と同様に丁寧であり、尊大さをまったく感じさせないおだやかな人柄であることは言い添えておくべきだろう。第2回【アニメにNHK大河、話題の香港アクション映画まで…すごすぎる作曲家「川井憲次」の意外な素顔「普段は音楽のことを考えてないです(笑)」】では、押井守監督との仕事や、ファンクラブにまで入っているお気に入りのミュージシャンなどについて語る。
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