資産総額200億円超 殺人事件を隠蔽した「みちのく記念病院」の悪いうわさ 「ニセの死亡診断書が常態化」
“地域医療の最後の砦”とされる青森県八戸市の「みちのく記念病院」。元院長の石山隆(61)とその弟の石山哲(てつ・60)の逮捕を機に、ずさんな運営実態が次々と明るみに出ている。
「2月14日、院内で起きた殺人事件を隠蔽(いんぺい)したとして、青森県警が二人を犯人隠避容疑で逮捕しました。二人は共に医師で、兄は病院を運営する医療法人『杏林会』の現理事長、弟は殺された男性の主治医でした」
と、地元記者が言う。
「事件が起きたのは2023年3月の夜、精神疾患がある患者4人が入院していた病室です。アルコール依存症の男性が、認知症の高齢男性の顔面を歯ブラシの柄で何度も突き刺した。看護師が治療にあたったものの、高齢男性は頭蓋内損傷と失血で亡くなりました」
石山隆、哲両容疑者は、
「看護師などに指示し、看護記録を“高齢男性が徘徊中に顔面をぶつけた”との内容に改ざん。病院側は遺族に“ちょっと転んじゃったみたい”と電話した後、再度連絡して死亡を伝えています」
しかも、遺族に渡されたのは死因を「肺炎」とする死亡診断書。医師の署名欄には、院内で“みとり医”と呼ばれていた男性の名が記されていた。
「男性は認知症の疑いで入院していた当時89歳の患者です。かつてみちのく記念病院でも勤務した医師でしたが、意思疎通は厳しい状態だった。にもかかわらず、対応する医師がいない夜間に患者が亡くなると“死亡診断”を任されていたのです」
「“二人羽織”で字を書かせていたとの情報も」
男性は昨年亡くなっているが、先の記者によると、
「事件を受けて県警が病院を捜索した際、その署名が入った死亡診断書が100枚以上押収されました。うち半数以上の死因が肺炎となっていた。県警はニセの死亡診断書が常態化していたとみています」
常態化といえば、と県医師会の関係者が声を潜める。
「看護記録の改ざんや、ご遺族への虚偽の連絡、死亡診断書交付などはもってのほか。さらに事件により被害者の主治医だった哲容疑者に“無診察治療”の疑いがあることも分かりました」
医師の診察がない看護師の治療は医師法違反だ。
「みちのく記念病院では夜中に入院患者の容体が急変しても医師に連絡がつかないケースが多いと聞きます。だから看護師はやむなく医療行為を行い、万一の場合には石山兄弟の指示でみとり医を使う。みとり医には“前任者”もいて、病院関係者が“二人羽織”で字を書かせていたとの情報もあります。無診察治療と虚偽の死亡診断書交付は長らく続いてきたと思われます」
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