スコアラーが語る「パ・リーグ展望」 ソフトバンクが恐れるロッテの“不気味な戦力” 佐々木朗希の穴を十分に埋める「右腕」とは
佐々木朗希の抜けた穴を埋めるのは?
打倒ソフトバンクの有力候補として名前が挙がったのは、昨季、CSに進んだ2球団である。
「やはりソフトバンクにとって怖いのは昨季Aクラスに入った2チーム。打の日本ハムと佐々木の抜けたロッテです。日本ハムは昨季、ソフトバンクとほぼ同じ数の本塁打を記録しました。ただ、四球が少なく、盗塁失敗も多いのが弱み。若手中心の成長途上のチームなので、伸びシロは当然ありますが、逆に1人が不振に陥れば連鎖してしまう危うさもあります。どちらかというと、日本ハムよりもロッテの方が不気味な存在です」
ロッテといえば、“令和の怪物”佐々木朗希のメジャー挑戦で先発ローテーションには大きな穴が空いたはず。しかし、佐々木の不在はそれほど大きな不安材料にはならないという。
「確かにロッテは佐々木が抜けた穴を埋めなければいけません。ただこれまで一度も規定投球回に達しておらず、昨季も111イニングに投げただけ。もちろんチームにとって痛手なのは間違いないですが、佐々木がいなくても先発投手の枚数は十分そろっています。特に大きいのがFAでソフトバンクから加入した石川柊太の存在。ロッテの本拠地マリンスタジアムで吹く強い風と相性が抜群で、石川柊ひとりで佐々木の10勝をクリアしても不思議ではありません。他にも高卒3年目の右腕・田中晴也もブレイク間近です。さすがに10勝は無理でも、5~6勝する力はあると思っています。他にも過去2年で計22勝している小島和哉や、昨季自己ベストに並ぶ9勝を挙げた西野勇士らがいる。先発投手陣の層の厚さはソフトバンクを凌駕しているといっても過言ではないです」
スコアラーが挙げたロッテ期待の若手野手は
仮にロッテの投手陣が佐々木の穴を埋めることができたとしても、得点力はどうか。昨季こそリーグ3位の得点数を記録したが、以前から続く外国人頼みの状況はなかなか改善されていない。
「野手は外国人2人(ソト、ポランコ)以外でレギュラー安泰の選手は少ない。ただ、人材不足というわけではなく、すでに一軍でも結果を出している藤原恭大、高部瑛斗あたりが殻を破る可能性が高い。また、寺地隆成、山本大斗など一つ下の世代が台頭してくるようだとさらに面白みは増すでしょう。和製大砲と呼べるような選手は少ないが、足の速い選手が多い。機動力に特化した攻撃を見せれば、得点はかなりアップすると思います。二遊間を守れる選手も豊富で、外野のレギュラー争いも熾烈。チーム内の競争激化がいい相乗効果を生んでくれるはず」
ロッテは2005年と10年に日本一に輝いているが、いずれも下克上で成し遂げたもの。1974年を最後に勝率1位での優勝を経験していない。その分、ファンの優勝に対する渇望の度合いも大きい。
佐々木が抜けて、他球団のマークもやや薄くなっている今季こそが、ロッテが悲願を達成する最大のチャンスかもしれない。
[2/2ページ]