スコアラーが語る「パ・リーグ展望」 ソフトバンクが恐れるロッテの“不気味な戦力” 佐々木朗希の穴を十分に埋める「右腕」とは

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 プロ野球は今月1日の一斉キャンプインからまもなく3週間。22日にオープン戦が始まると、来月28日には、セ・パ同時に公式戦が開幕する。
【八木遊/スポーツライター】

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下馬評が高いソフトバンクだが……

 パ・リーグはやはり、ソフトバンクの下馬評が高い。

 小久保裕紀監督の就任1年目となった昨季は開幕から着々と白星を積み重ね、4月4日から首位の座を譲ることなく独走。終わってみれば、2位に13.5ゲーム差をつけて、4年ぶりに覇権を奪還した。

 2021年から3年連続でオリックスの後塵を拝していたのがウソのような盤石な戦いぶりは、まさに“常勝軍団”そのもの。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでも日本ハムを寄せ付けず、日本シリーズに進出した。

 ただ、DeNAとの頂上決戦は、首脳陣や選手から驕りとも油断とも取れる言動があり、セ・リーグ3位の伏兵に世紀の下克上を許す結果に……。

「勝って兜の緒を締めよ」

 選手たちはその言葉の意味を痛感したはずだ。日本シリーズの失敗を教訓に、今季は手綱を緩めることなく、最後まで戦い抜く覚悟ができているだろう。

 ただ、優勝候補筆頭のソフトバンクにも懸念事項がある。

 扇の要・甲斐拓也のFA流出はチームにとって大きな痛手だ。捕手はすぐに替えのきかないポジションでもあり、シーズン中に何度か“甲斐ロス”を痛感する場面があってもおかしくない。

 そしてその甲斐が昨季まで引っ張った投手陣にも一抹の不安があるという。

スチュワート・ジュニアが早くも離脱

「そもそも昨季のソフトバンクは投手陣、特に先発陣が出来過ぎだったのではないでしょうか」

 とは、匿名を条件に語ってくれた某球団のスコアラーだ。

「有原航平とモイネロの2人がMVPを獲ってもおかしくない活躍を見せましたが、昨季と同じだけのパフォーマンスとなると簡単ではない。両投手ともプロ入り後の自己最多を大幅に上回るイニング数を記録しただけに、その反動があってもおかしくないでしょう」

 2人の他にチーム3位の9勝を挙げたスチュワート・ジュニアもいるが、キャンプ中盤に左腹直筋を痛めて離脱。昨季はリーグトップの防御率2.53をマークしたソフトバンクだが、それを維持するのは至難の業だ。

「もともと先発ローテーションの3番手以降がソフトバンクのアキレス腱になるとみていました。スチュワートが開幕に間に合わない場合は、シーズン序盤からローテーションを回すのに苦労しそうです。さらに捕手が日替わり起用になるようなら、リズムを乱す投手が出てきてもおかしくないですよ」

「それでも今季のパ・リーグはソフトバンク中心の構図」というのがスコアラーの見解だが、他球団にも付け入る隙がないわけではないようだ。

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